ハクビシンの被害~意外と身近な野生動物の脅威
近年、都市部でも目撃されるようになったハクビシン。

一見可愛らしい外見とは裏腹に、私たちの生活に深刻な影響を及ぼす存在となっており、その被害は多岐にわたります。
以下ではハクビシンがもたらす様々な被害の実態について詳しく解説します。すでに被害に遭われている方はもちろん、予防策を知りたい方にも役立つ情報をお届けします。
目次
ハクビシンがもたらす被害とは
ハクビシンは農作物への被害、家屋への侵入、そして人やペットへの感染症リスクなど、深刻な問題をもたらします。
天井裏への侵入による建物の破損やふん尿被害、さらには狂犬病やSFTSといった致死率の高い感染症を媒介する可能性もあるため、見つけ次第早急な対策が必要です。
ではハクビシンはどのような被害をもたらすのでしょうか。
生態系への影響
ハクビシンは雑食性の動物とされ、果実や穀類、動物、昆虫などを幅広く食べています。
鳥の卵も好み、鳥の巣を荒らして卵を食べることで在来種の野鳥が数を減らす可能性もあり、ハクビシンの生息域の拡大による生態系への影響が懸念されています。
生活環境への被害
ハクビシンの家屋や寺社などへの侵入によって、建物の破損、ふん尿による汚損等(特に天井裏)の被害が大きな問題となっています。 またペットとして飼っていた小動物やコイ、金魚やニワトリなどの飼育動物が捕食されたという事例もあります。
農作物などへの被害
果樹や野菜、イモ類、飼料作物、マメ類を中心として、実に多種多様な農作物に対して深刻かつ広範囲にわたる被害を引き起こしており、農家の方々にとって大きな脅威となっています。
ハクビシンの脅威はいつ広まった?
ハクビシンはもともと南インドから東南アジア、中国、台湾に生息している動物で、台湾などから来た外来種です。
日本では1936年に香川県で初めて捕獲され、その後1943年に静岡県、1944年に宮城県でも見つかりました。最初はこれらの地域だけでしたが、現在では四国、中部、関東、東北地方の広い範囲に広がっており、2008年時点で43都道府県に生息しています。
東京都へは静岡県由来の個体群が侵入し、1980年に八王子市で初めて確認されました。2000年には千代田区で2個体が捕獲され、2025年の時点では23区内にも分布拡大したと推測されます。
ハクビシンの被害相談件数は多摩地区より区部で多く、東京都の中心部でもハクビシンが定着していると考えられています。
ハクビシンの被害調査から
都心におけるハクビシンの被害を詳しく見ていきましょう。
葛飾区におけるハクビシンの被害状況を調べた論文では、被害は騒音、ふん尿害、食害、侵入、その他に分類。最多は騒音10件(24.4%)、次いで騒音とふん尿害の同時発生5件(12.2%)。ふん尿害4件(9.8%)、食害3件(7.3%)、侵入2件(4.9%)でした。複合被害含め騒音は17件(41.5%)で最多、ふん尿害10件(24.4%)、食害4件(9.8%)、侵入3件(7.3%)と報告されています。
参考:「東京都区部におけるハクビシン (Paguma larvata) による被害件数の推移と被害内容」
https://carnecco.jp/wp-content/uploads/2023/02/master_2016.pdf
騒音は主に足音で、早朝と昼間に発生し「運動会のよう」と表現された事例もありました。
ふん尿害はふんの発見、天井のシミやたるみ、尿の落下など。賃貸契約解除に至った事例も報告されています。
食害はビワ、カキ、柑橘類で、柑橘類は最も甘い下部のみが被害を受けました。
建物への侵入被害は神社での参拝者威嚇、屋上雨どいへのふんなどです。
その他の被害として天井板落下(2件)、ノミ被害(1件)がありました。
ハクビシンの被害(2009~2017年の葛飾区被害相談データまとめ)
| 被害の種類 | 件数(件) | 割合(%) | 被害例 |
| 騒音 | 10 | 24.4 | 天井裏で足音と鳴き声がする。 |
| 騒音+ふん尿害 | 5 | 12.2 | 天井裏で足音がし,ふん尿により天井板がたるむ。 |
| ふん尿害 | 4 | 9.8 | 天井板にふん尿によるシミを確認。 |
| 食害 | 3 | 7.3 | 庭のカキの木が結実期になると食害に遭う。 |
| 侵入 (住着き以外) | 2 | 4.9 | 神社境内裏をうろつき,参拝者を威嚇する。 |
| 騒音+食害 | 1 | 2.4 | 昼間に足音がしてうるさい。庭の柑橘類の下部を食害される。 |
| ふん尿害+侵入(住着き以外) | 1 | 2.4 | 屋上にやってきて雨どいにふんをする。屋上を通り道として利用。 |
| その他 | 6 | 14.6 | 猫の捕獲目的の罠により誤捕獲。 |
| 騒音+その他 | 1 | 2.4 | 天井裏で音がし,ノミによるかゆみ被害発生。 |
| 不明 | 8 | 19.5 | |
| 騒音合計 | 17 | 41.5 | |
| ふん尿害合計 | 10 | 24.4 | |
| 食害合計 | 4 | 9.8 | |
| 侵入(住着き以外)合計 | 3 | 7.3 |
※ハクビシンによる生活被害の実態
引用:フィールドサイエンス(J. Field Science)17: 1 ‒ 8 ,2019「東京都区部におけるハクビシン (Paguma larvata) による被害件数の推移と被害内容」
都市部でも定着しているハクビシン
先ほどは葛飾区の被害状況を一部紹介しましたが、すでに都区部ではハクビシンによる騒音、ふん尿害、食害、敷地侵入など様々な被害が発生しています。
家屋侵入では、初期は天井裏の騒音による精神的被害から始まり、放置するとふん尿の蓄積による悪臭や天井のたるみ、最悪の場合は天井崩落や健康被害にまで発展しています。
ハクビシンにとって人間の家は快適なすまい
ハクビシン被害の中でも特に家屋への住み着きが多く報告されています。
野生下では樹洞や洞窟を利用するハクビシンですが、断熱材のある天井裏は温度が安定し、高所で外敵から守られる理想的な環境です。
侵入口は屋根の隙間、増設部分の隙間、通気口、ダクト口、床下などが確認されました。換気設備にはフィルターや格子が設置されることもありますが、根詰まり防止のため未設置の家もあります。
格子の劣化や破損、ハクビシンによる押し上げで侵入を許すケースもあり、十分な強度が必要です。リフォームや増築時の接続部の隙間も侵入口となるため注意が必要です。
換気口は空気、熱、湿気の循環に重要ですが、動物の侵入口にもなりやすく、幅12cm×高さ6cmまたは幅6cm×高さ11cmの隙間があれば侵入できるといわれています。
頑丈な格子や金網で6cm以上の隙間を作らないことが重要です。
ハクビシンによる人間・ペットへの被害

ハクビシンは人間やペットなどに対し、感染症やウイルス、害虫による被害を与えかねない動物です。
ではどのような被害を受ける可能性があるのでしょうか。概要を以下にまとめました。
人間への感染の恐れがある疾病
| 伝播方法 | 主な感染経路 | 感染症名 | 概要 |
| 直接伝播 | だ液→咬み傷 | 狂犬病 | ウイルスによる致死率の高い神経系の感染症。発症後の致死率はほぼ100%。 |
| 便→手指に付着 →経口感染 | トキソプラズマ症 | 寄生虫による感染症。妊婦が初感染すると胎児に影響を及ぼす可能性がある。 | |
| エキノコックス症 | 寄生虫による肝臓や肺の疾患。潜伏期間が長く、重症化すると生命に関わる。 | ||
| サルモネラ感染症 | 細菌による食中毒。下痢、発熱、腹痛、嘔吐など。12時間~36時間後に症状が現れ2日間~7日間続く。 | ||
| カンピロバクター感染症 | 細菌による食中毒。下痢、腹痛、発熱など。1週間程度で回復も、まれに「ギラン・バレー症候群」などの合併症を起こす。 | ||
| エルシニア感染症 | 細菌による感染症。発熱、腹痛、下痢が中心で、重症の場合は虫垂炎様症状や、まれに敗血症や関節炎を起こす。 | ||
| 重症急性呼吸器症候群(SARS) | コロナウイルスによる重症の呼吸器感染症。高熱と呼吸困難を引き起こす。 | ||
| 皮膚接触 | 皮膚糸状菌症 | 真菌による皮膚感染症。かゆみ、発疹、脱毛などの症状を引き起こす。 | |
| 疥癬 | ヒゼンダニによる皮膚感染症。激しいかゆみと発疹を引き起こす。 | ||
| 間接伝播 | ダニ類 | 日本紅斑熱 | リケッチアによる感染症。頭痛、発熱、倦怠感を伴う。潜伏期は2~8日と、ツツガムシ病の10~14日に比べやや短い。 |
| ツツガムシ病 | リケッチアによる感染症。刺された部位にできる黒いかさぶた状の刺し口ができる。潜伏期間の後、高熱、頭痛、肝機能障害、全身倦怠感、食欲不振といった症状。治療が遅れると重症化する。 | ||
| 重症熱性血小板減少症候群(SFTS) | ウイルスによる感染症。高熱、消化器症状、血小板減少を引き起こし、致死率が高い。 | ||
| 水 | レプトスピラ症 | 細菌による感染症。発熱、筋肉痛、黄疸などを引き起こし、重症化すると腎不全や肝不全に至る。 | |
| 肉 | E型肝炎 | ウイルスによる肝炎。発熱、黄疸、倦怠感などを引き起こす。妊婦では重症化しやすい。 |
ペットへの感染の恐れがある疾病
ハクビシンは人間のほか、ペットに対しても危険な感染症の媒介者です。
| 感染症名 | 概要 |
| ジステンパー | 犬や野生動物に感染するウイルス性疾患。発熱、呼吸器症状、神経症状を引き起こし、致死率が高い。 |
| バルボウイルス感染症 | 主に犬に感染するウイルス性疾患。激しい嘔吐や下痢、脱水症状を引き起こし、特に子犬では致死率が高い。 |
| アデノウイルス感染症 | 犬に感染するウイルス性疾患。呼吸器症状や肝炎を引き起こす。犬伝染性肝炎として知られ、重症化すると死に至ることもある。 |
上記のように、ハクビシンが保有している可能性のある感染症などには致命的なものが含まれることがわかります。
ハクビシンを見つけたら安易に接触せず、駆除業者に相談するなど早めに対応しましょう。
ハクビシンを寄せ付けないためにできること
ハクビシンによる被害を未然に防ぐためには、日頃からの予防対策が重要です。
野生動物はエサ場やすみかを求めて人間の生活圏に侵入してくるため、それらを排除することで被害のリスクを大幅に減らすことができます。
以下はハクビシンを寄せ付けないためにご家庭でできる対策です。
- エサとなる食べものを絶つ
- ペットフードや生ごみを屋外に放置しない
- 果実は早めに収穫するか網をかける
- 家屋へ侵入させない
- 換気口、軒下、戸袋等の隙間に金網を被せる
- 破損箇所を修復する
- 屋根に伸びる木の枝を剪定する
- 住まいを与えない
- 敷地内の草木を手入れする
- 物置を頻繁に見回る
- 侵入された場合はくん煙剤を焚く
まとめ
ハクビシンの被害について紹介してきました。
ハクビシンも含め、野生動物に対しては駆除経験のない方が直接対処しようとすると、噛まれたり引っかかれたりして感染症にかかるリスクも高まります。
ハクビシンの被害でお困りの際は、専門知識と適切な許可を持つプロの駆除業者に依頼すると安心です。安全かつ確実な駆除と、再発防止のための適切な処置を行ってもらえるでしょう。
害獣駆除でお悩みの方は駆除ザウルスへご相談ください。




