アライグマとタヌキの違いを比較解説|害獣対策に役立つ!
近年、日本の都市部や農村地域では、アライグマやタヌキによる被害が増加しています。

家屋への侵入や農作物の食害など、様々な問題が報告されていますが、対策を立てる上でアライグマとタヌキの違いを理解しておくことも大切です。
以下ではアライグマとタヌキの見分け方や特徴を詳しく紹介していきます。
目次
アライグマとタヌキの特徴
まずはアライグマとタヌキのおおまかな特徴を見ていきましょう。
| 特徴 | タヌキ | アライグマ |
| 分類 | 哺乳綱食肉目イヌ科タヌキ属 | 哺乳綱食肉目アライグマ科 |
| 由来 | 日本全国に生息している在来種 | ペットが野生化した特定外来生物 |
| 見た目 | おでこが白く、足が黒い。尻尾に模様なし | おでこに黒い線、目の上と鼻周りが白い。尻尾に縞模様あり |
| 手 | 肉球は犬や猫に似た形状 | 手は5本指で人間の手に似た形。白く長い髭 |
| 行動 | 集団行動。木登りは苦手 | 手先が器用で木登りが得意 |
| 性格 | 臆病で人家への侵入は少ない | 気性が荒く攻撃的。一度居座ると長期滞在 |
| 被害傾向 | 稀に床下に棲み着くことがある | 屋根裏に棲み着き、子育てをすることも |
アライグマの身体的特徴
体型:特徴的な猫背の姿勢で、前かがみになった独特のシルエット
体長:約40~60cm(しっぽを除く)で、成獣になると中型犬ほどのサイズに成長
体重:4~10kgと幅広く、オスはメスより大きく重い傾向
体の色:主に灰色か白色の被毛を持ち、体の部位によって色の濃さが異なる場合もある
しっぽ:約20~40cmと比較的長く、灰色と黒のしましまが4~10本あり、夜行性の活動時に平衡感覚を保つ役割を果たす
足跡:5本指で、一本一本が長く独立しており、人間や猿の手のような特徴的な足跡を残す。
顔:眉間から鼻までが黒く「アライグママスク」と呼ばれる特徴的な模様があり、耳のふちの色は白く、ひげは白く長い。この模様は個体識別にも役立つ
タヌキの身体的特徴

体型:ずんぐりとした丸みのある体型で、全体的にコンパクトな印象。冬場は特に毛が密生して太って見える
体長:約50~70cm(しっぽを除く)で、地域や個体によってサイズに若干の差がある
体重:3~5kgほどで、季節によって体重変化が見られ、冬眠前は脂肪を蓄えて重くなる
体の色:胴体は主に茶色から茶褐色の毛に覆われており、四肢の脚部分は特徴的な黒色。背中から脇腹にかけての毛は比較的長い
しっぽ:約15~18cmと比較的短く、茶褐色の1色で模様がなく、短く丸みを帯びた形状をしており、先端部分が黒くなっている
足跡:4本指で犬科特有の足跡を残し、肉球の形状は犬に似ているが、やや丸みがあり、前足と後ろ足で若干サイズが異なる
顔:目の周りから首にかけて黒い毛で覆われており、いわゆる「目隠し」のような模様を形成している。耳のふちの色とひげの色は黒く、顔の上部は白っぽい毛で覆われていることが多い
アライグマとタヌキの見分け方のポイント
アライグマとタヌキをぱっと見で見分けるポイントは、顔の模様、しっぽの模様と形、足跡の3つです。
- 顔の特徴:アライグマは目の周りが黒く「アライグママスク」と呼ばれる模様があるのに対し、タヌキは目の周りから首にかけて黒い「目隠し」模様があります。
- 尻尾の模様:アライグマの尻尾には4~10本の縞模様がありますが、タヌキの尻尾は茶褐色の単色で模様がありません。
- 手の形状:アライグマは5本指で人間の手に似た形をしており、器用に物を扱えます。一方、タヌキは犬科特有の4本指で、肉球も犬に似ています。
アライグマとタヌキの生息場所の違い
アライグマとタヌキは普段どこに住んでいるのでしょうか。
彼らの好む場所は若干異なりますが、人間の住居に近い場所もしくは一つ屋根の下に同居しているケースがあります。
アライグマの住む場所
アライグマは木に登るのが上手で、高い場所に住むのが好きです。
野生では主に木の上に巣を作りますが、街中では屋根裏や天井裏、物置の上などの高い場所に住みつきますが、もともと木の上で暮らしてきた習性が残っているためです。
またアライグマは器用な手を使って屋根の小さな隙間からも簡単に入り込み、快適な場所を見つけると長く住み、子育てもします。屋根裏で何世代にもわたって暮らすアライグマの群れが見つかったこともあります。
タヌキの住む場所
タヌキは地面や低い場所で生活する動物です。
自分で深い穴を掘ることはあまりせず、他の動物が残した穴や自然にできた空洞、倒れた木の根元、岩の隙間などを利用します。
街中では建物の床下や倉庫の隙間、物置の下など、暗くて人目につかない低い場所に住みつきます。
アライグマと違って、タヌキは高い所に登るのが苦手で、木に登ったり高い場所に巣を作ったりすることはほとんどありません。
群れで生活することもあり、一つの巣を複数のタヌキで共有することもあります。季節によって寝る場所を変え、特に冬は暖かい場所を選びます。
アライグマとタヌキの習性の違い
アライグマとタヌキは行動パターンや好んで食べるエサ、フンの仕方などにも違いがあります。]
アライグマの習性
行動パターン:主に夜行性で、日没後から夜明け前までの時間に活発に行動します。基本的に単独行動を好み、母親と子供以外ではほとんど群れを作りません。縄張り内を一晩で数キロメートル移動することもあります。
なわばり:明確なテリトリーは作らず、状況に応じて広い範囲を自由に移動することがあります。オスの方がメスより広い行動範囲を持ち、食料が豊富な場所では複数の個体が同じエリアを共有することもあります。
繁殖期:主に1月から3月にかけて交尾し、約2か月の妊娠期間を経て、4月から6月頃に平均3~5匹の子供を出産します。子育ては母親だけで行い、生後約2ヶ月で離乳、1年程度で独立します。
手先の器用さ:5本指の手はかなり器用で、複雑な動作が可能です。鍵のかかったドアを開けたり、蓋をひねって開けたり、複雑な仕組みの餌箱からも食べ物を取り出せます。水中で「洗う」ような動作をよく見かけますが、手先の器用さを示す特徴的な行動です。
フン:タヌキのように特定の場所に集中してフンをする習性がなく、移動しながらバラバラと散らかす傾向があります。フンは細長く、内容物によって色や形が変わります。
食性:非常に幅広い雑食性で、ザリガニなどの水生動物、果実、野菜、昆虫、小型哺乳類、鳥の卵、時には自分より大きな動物まで、様々な食材を臨機応変に食べます。季節や環境によって食べ物を変え、高い適応力を示します。
タヌキの習性
行動パターン:基本的に夜行性の傾向がありますが、環境や季節によっては日中に活動することも珍しくありません。群れを作る社会性があり、家族単位で行動することが多く、親子や兄弟姉妹が一緒に食べ物を探したり、遊んだりする姿がよく観察されます。
なわばり:比較的緩やかなテリトリー意識を持っており、厳格な縄張り争いはあまり見られません。テリトリーの境界は主に「溜めフン」と呼ばれる特定の場所に集中して排泄することで示され、タヌキのすみかを特定する重要な手がかりとなります。複数のタヌキのグループが近い地域で共存することもあります。
繁殖期:主に1月から2月にかけてが交尾期で、約50日間の妊娠期間を経て、4月から5月頃に3~5匹の子供を出産します。子育ては両親が協力して行うことが多く、家族の絆が強いことでも知られています。子タヌキは生後約3~4ヶ月で独立し始めますが、冬までは家族と行動することが多いです。
手先の器用さ:アライグマほど器用ではないものの、犬科の動物としては比較的細かい動作が可能です。前足は主に掘る、かきわける、食べ物をつかむなどの行動に使用します。物を「洗う」ような行動はアライグマほど見られず、複雑な動きもできません。
フン:タヌキの最も特徴的な習性の一つが「溜めフン」で、特定の場所に継続的にフンを溜める行動をします。この溜めフン場所は世代を超えて利用されることもあります。
食性:雑食性ですがアライグマほど多様な食性ではなく比較的小型の食物を好み、昆虫類やミミズなどの土壌生物、小型のげっ歯類、果実、野菜、時には人間の食べ残しなども摂取します。季節によって食性が変化し、春から夏は主に動物性のタンパク質、秋は果実類、冬は保存食や冬眠中の昆虫など、入手可能な食物に適応します。
アライグマとタヌキがもたらす被害と危険性の違い
アライグマもタヌキも人間の作った農作物に被害をもたらしたり、家屋に住み着いてフンによる建物への被害や寄生虫のリスクなどをもたらす害獣です。
ただその被害傾向やリスクの大きさは両者で違いがあります。
アライグマによる被害と危険性
アライグマもタヌキも人間や農作物に被害をもたらす可能性のある動物ですが、その被害状況やリスクにも若干の違いがあります。
直接的な攻撃を受ける可能性を考えれば、アライグマのほうが危険性の高い動物と言ってよいでしょう。
家屋への侵入:器用な手先と優れた身体能力で屋根裏や壁の隙間から侵入し、断熱材を破壊したり、電線をかじったりして構造的な被害をもたらすこともあります。
農業被害:トウモロコシや果樹園などで深刻な被害を与え、一晩で広範囲の作物を荒らすことがあります。収穫間近の作物を特に好み、味見だけして多くを無駄にする傾向があります。
生態系への影響:外来種であるため天敵が少なく、在来種の鳥類や両生類、小型哺乳類を捕食し、生態系のバランスを崩す恐れがあります。特に水鳥の卵や雛を襲うこともあり、希少種保護の観点でも問題視されています。
衛生・健康リスク:アライグマ回虫症などの人獣共通感染症を媒介する可能性があり、特に糞による感染リスクが高いです。日本での被害報告はありませんが、狂犬病のキャリアになることもあり、攻撃性を示す個体に噛まれると危険です。
タヌキによる被害と危険性
家屋への影響:主に床下や物置などの低い場所に住み着き、フンや尿による悪臭や衛生問題を引き起こしますが、アライグマほど建物に構造的な被害を与えることは少ないです。
農業被害:畑や果樹園で作物を食べることはありますが、被害規模はアライグマと比べて限定的で、地域的な問題にとどまることが多いです。
生態系への影響:在来種であるため生態系のバランスを大きく崩すことは少なく、むしろ生物多様性の一部として機能しています。
衛生・健康リスク:エキノコックス症などの寄生虫を媒介することがありますが、人との接触機会が少ないため感染リスクはアライグマより低いです。ただし、溜めフンの場所は衛生上の問題になることがあります。
まとめ
アライグマとタヌキの違いについて詳しく解説してきました。
もし家のすぐ近くで足跡などの痕跡を見つけたり、屋根裏でどたどた音がするなどの異常を発見した場合、彼らの脅威にさらされている可能性があります。
早めに対処したいところですが、両獣とも鳥獣保護管理法の対象動物ですのでまずは駆除の専門業者に相談しましょう。
害獣駆除でお悩みの方は駆除ザウルスへご相談ください。



