ハクビシンから人やペットに感染する病気とは?予防と対策法を解説
都市部での目撃情報が増えているハクビシン。タヌキに似た可愛らしい外見をしている反面、害獣の一種であり、人やペットに感染する病気の媒介者となることもあります。
この記事では、ハクビシンの特徴や生態、感染症である病気の種類と症状、予防と対策法などを詳しく解説します。ハクビシンから人やペットを守るためにも、ぜひ参考にしてください。
ハクビシンとは?特徴や生態について
人間への病気の媒介者になり得るハクビシンですが、一体どのような生き物なのでしょうか。
ここでは、ハクビシンの見た目や食べ物など動物の特性について解説します。
ハクビシンの見分け方と生息地域
ハクビシンはジャコウネコ科の動物で、漢字では「白鼻芯」と書きます。その名の通り、額から鼻先にかけて白い模様があるのが特徴。目の下や耳元にも白い斑紋があります。
ハクビシンはもともと東南アジアや中国南東部などの南方の国に生息していましたが、現在では日本全国各地で見られるようになりました。
自然の多い山間部から人の多い住宅地まで幅広く生息し、屋根裏や床下など人目につかない場所を好んで住みつくのが特徴です。
ハクビシンの食性や習性
ハクビシンは雑食性で、果物や野菜などの植物質だけでなく、昆虫や小動物などの動物質も食べます。特に果物を好んで食べるため、農作物の被害が多く発生しているのが現状です。
そんなハクビシンは臆病な性格の持ち主。基本的に人には近づかず襲うことはないといわれています。ただし、危険を感じたときは威嚇したり噛みついたりする可能性もあるため、注意を払うことが大切です。
ハクビシンが害獣として問題になる理由
ハクビシンが害獣の一種とされているのには、以下のような理由があるからです。
- 農作物や果物を食べて食害被害を引き起こすから
- 屋根裏や床下に住み着いて騒音や異臭被害を引き起こすから
- 糞尿や毛などでダニやノミなどの寄生虫被害を引き起こすから
- 噛みついたり引っ掻いたりして人やペットに怪我をさせるから
- ノミやダニ、マダニ、ヒゼンダニなどを媒介して感染症を引き起こすから
特に感染症のリスクは重大です。ハクビシンの影響で病気を患ってしまわぬよう、対策を練ることが大切です。
ハクビシンが原因で発症する病気の種類と症状
ハクビシンは、人間やペットに対して直接攻撃することはほとんどありませんが、ノミやダニなどの寄生虫を媒介することで、さまざまな感染症や病気を引き起こす可能性があります。
ここでは、ハクビシンが原因で発症する病気の種類と症状について解説します。
ハクビシンにまとわりつく寄生虫
ハクビシンは自分の巣に糞尿をします。その糞尿にノミやダニが寄生する関係から、ハクビシンの体表にもまとわり続けるといった流れです。
このハクビシンに寄生したノミやダニなどが人やペットに移ってしまうと、皮膚疾患やアレルギーといった病気の原因を引き起こしてしまいます。
というのも、寄生虫は血液や皮膚を吸って栄養を得るだけでなく、以下のように様々な病原体を媒介することがあるのです。
寄生虫 | 媒介する病原体や寄生虫の種類 |
ノミ |
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ダニ |
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上記の病原体は、人間やペットにも感染する可能性があります。特に、ペットは毛皮があるために寄生虫の存在に気づきにくく、感染が進行してしまう恐れがあります。
ノミやダニによる皮膚疾患やアレルギーの症状と治療法
ノミやダニに刺されたり噛まれたりすると、皮膚に赤い斑点やぶつぶつができたり、強いかゆみを感じたりします。刺激によって掻きむしったり舐めたりしてしまうと、皮膚が傷ついたり化膿したりすることもあるため避けることが大切です。
また、ノミやダニの唾液に対してアレルギー反応を起こす場合もあります。これをノミアレルギー性皮膚炎やダニアレルギー性皮膚炎といいます。アレルギー性皮膚炎の場合、刺された部位だけでなく、全身にかゆみや湿疹が広がることがあります。
皮膚のかゆみや炎症は、抗ヒスタミン剤やステロイド剤などの薬で緩和できます。ただし、自己判断で服用するのではなく、必ず医師や獣医師に相談してください。
①ハクビシンから感染するSFTS(重症熱性血小板減少症候群)
ハクビシンから感染するSFTSは、重症化すると死亡してしまう危険性を伴う感染症です。病気を避けるためにも、予防や早期発見が重要になります。
SFTSとは?
ハクビシンから感染するSFTSとは、マダニが媒介するウイルス性の感染症です 。主にマダニの唾液に含まれており、噛まれることで感染するほか、感染した動物の血液や体液に触れることでも感染する可能性があります。
SFTSの症状と診断方法
SFTSの症状は、感染後約1週間で発症します。発熱や頭痛、下痢、嘔吐などの全身症状のほか、出血傾向や意識障害などの重篤な症状が出ることもあります 。また、SFTSの致死率にも注意すべきで、約3割の人が死亡するとされています。
厄介な病気であるSFTSの診断は、血液検査でウイルスの遺伝子や抗体を検出することでおこなわれます。ただし、感染初期では検査で陰性となることもあるため、マダニに噛まれたことがある方は、発熱などの症状があれば早めに医師に相談することが大切です。
SFTSの治療法と予後
SFTSの治療法ですが、実は確立されていないのが現実です。対症療法や抗ウイルス薬などで症状を抑えることはできますが、完全にウイルスを除去することはできません。さらに重篤な場合は、人工呼吸器や透析などの集中治療が必要になることもあります。
SFTSの予後は、感染者の年齢や基礎疾患などによってことなりますが、一般的には不良といわれています。致死率は約3割と高いだけでなく、生存者でも後遺症が残ることもあります。早期発見・早期治療が重要ですが、それでも完治する保証はありません。
②ヒゼンダニによる疥癬(かいせん)
続いてハクビシンが原因で発症する病気は疥癬です。SFTSとはことなり治療法が確率されていますが、症状は深刻であるため、知識を深めておくことが大切です。
疥癬とは?感染経路や寄生部位
疥癬とは、ヒゼンダニという寄生虫によって引き起こされる皮膚感染症です 。ヒゼンダニはハクビシンから人に移り、皮膚の表面ではなく角質層に穴をあけて寄生してくるため、皮膚から取り除くことが難しくなります。
ヒゼンダニは主に手足や腰などの皮膚に寄生しますが、顔や頭部に寄生することもあります。
疥癬の症状と診断方法
疥癬の症状は、ヒゼンダニに噛まれることで起こる強いかゆみが特徴です。かゆみは夜間に悪化することが多く、睡眠障害やストレスを引き起こすこともあります。また、ヒゼンダニの通った跡には、疥癬トンネルと呼ばれる細い線状の赤い発疹ができます。ほかにも、水泡やびらん、化膿などの皮膚病変が見られることもあります。
疥癬の診断は、以下のような方法を用いて皮膚科でおこなわれます。
- 症状や経過などの問診
- 皮膚スクレーピング
- 顕微鏡検査
- テープ法
疥癬の治療法と予防策
疥癬の治療法は、ヒゼンダニを駆除するための薬剤治療が主です。塗り薬やシャンプーなどの外用剤や、錠剤などの内服剤が用いられます。ただし、一度では完全に駆除できないこともあるため、数回にわたって治療をおこなう必要があります。
また、感染した動物や人と接触した場合は、同時に治療をおこなうことが望ましいです。
疥癬の予防策として挙げられるものは、当たり前ではありますがヒゼンダニに噛まれないようにすることです。疥癬という病気を患わないよう、ヒゼンダニ対策として以下のようなことを参考にしてみてください。
- ハクビシンやイヌなどの感染動物と接触しない
- 感染した人や動物と同じ寝具や衣類を使わない
- 感染した人や動物と密接なスキンシップを避ける
- 感染した人や動物が触れた場所を清潔に保つ
ハクビシンから人やペットに感染しないための予防策
ハクビシンが原因で患ってしまう病気を知ることは大切ですが、そもそも感染しないよう予防策を心得ることも重要です。
ここでは、ハクビシンを寄せ付けないようにする予防策を紹介します。
食べ物やゴミを放置しない
ハクビシンは雑食性なことから、食べ物やゴミを見つけると食べに来ます。そのため、食べ物やゴミを外に放置しないようにすることが大切。特に果物や野菜などの植物質は好んで食べるので注意が必要です。
ゴミ類はしっかりと蓋を閉めて、できればゴミ箱の中に入れておきましょう。
忌避剤や防護ネットを使う
ハクビシンは臆病な性格なので、嫌な臭いや音には敏感です。その性質を活用し、忌避剤や防護ネットを使って、ハクビシンが近寄りにくくすることができます。
忌避剤は市販のものや、ニンニクや唐辛子などの自然素材を使って作ることもできます。ただし、ハクビシンは木登りが得意なので、上から侵入されないように注意しましょう。
屋根裏や天井裏などの隙間を塞ぐ
ハクビシンは狭い隙間でも通り抜けられるので、屋根裏や天井裏などに侵入して住み着くことがあります。そのため、隙間を見つけたらできるかぎりすぐに塞ぐようにしましょう。
隙間を塞ぐときは、金属製の網や板などを使って、ハクビシンが噛み破ったり引っ掻いたりしても壊れないように作ることが大切です。
ハクビシンが原因の病気を回避する方法とは
ハクビシンから人間に感染する病気について解説しました。
ハクビシンは可愛らしい見た目とは裏腹に、さまざまな害虫を病気とともにもたらす可能性があります。
ただ、ハクビシンを自分の手で駆除せずとも、プロの業者に任せてしまえば病気にかかる心配もありません。
ハクビシンに関してお困りの際は、害獣駆除専門業者の「駆除ザウルス」にご相談ください。