コウモリは冬眠する?生態や被害予防について解説
暗くなると、庭先や近所に小鳥のような影が飛んでいるのが見える。屋根裏でカサカサと小さな音がする。これらはコウモリが近くに潜んでいるサインかもしれません。
コウモリの名前や姿は有名ですが、実際の生態についてはよく知らないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、コウモリの生態や冬の時期にどのような活動をしているのか、被害を予防するために知っておきたいポイントを解説しています。
目次
日本に生息するコウモリは34種類
日本が生息が確認されているコウモリは、分類法によって数が変動しますが34種類ほどといわれています。
以下は日本に生息するコウモリの種類の一部です。
・アブラコウモリ
・ウサギコウモリ
・キクガシラコウモリ
・カグラコウモリ
・オヒキコウモリ
・オガサワラオオコウモリ
アブラコウモリを除く大半の種類は森林や洞窟などに生息しているので、日常で接触する機会はほぼありません。
普段私たちが住宅地で見かけるのは、アブラコウモリと呼ばれる種類のコウモリです。住宅に侵入して屋根裏などを住処にすることから別名イエコウモリとも呼ばれています。
コウモリの生態
外が暗くなると姿を現すコウモリですが、住宅に侵入されると厄介な動物です。ここでは、住宅地でよく出没する身近なアブラコウモリの生態を解説しています。
外見の特徴
アブラコウモリは体長約3cm~6cm、体重5~11gほどで非常に小柄なコウモリです。体毛は黒褐色や灰褐色で覆われており、翼をたたむとわずか1㎝のスキマを通り抜けることができます。空を飛べるので鳥類と勘違いしそうですが、実は哺乳類なのです。
鳴き声は超音波のため、人間の耳では聞こえません。しかし、危険を察知すると人間が聞きとれる音域で「キィキィ」「チチチチ」と甲高い鳴き声を発します。ネズミの鳴き声によく似ているため、聞き間違えたというお声もよく耳にしました。ただ、コウモリは飛び回るので「バサバサ」と羽音も聞こえるのが特徴です。
アブラコウモリは、北海道道央部以北を除く日本全域に分布しています。山林や洞窟ではなく、都市部や農村部など人間の生活圏内で生息しています。
食性
コウモリに血を吸うイメージを持っている方もいるかもしれませんが、日本に吸血コウモリは生息していません。身近に出没するアブラコウモリの主食は昆虫です。日没から明け方まで空を飛び回り、飛んでいる小型昆虫類を捕食します。
蚊やハエ、ゴキブリなどの害虫を捕食するため、人間にとって益獣といえる一面も持っているのです。ちなみに、一匹のコウモリが一晩で食べる蚊の量はなんと500匹にも及びます。
アブラコウモリの冬眠
アブラコウモリは寒くなると冬眠する習性があります。冬は食料である蚊やハエなどの小さな昆虫類が減り、食料不足で命を落とす危険性があるからです。体温を外気温と同じ温度まで下げ、じっと動かずにエネルギー消費を抑えて冬を乗り越えます。冬眠中の呼吸回数は1分間に1回、心拍数は活動時の10分の1まで抑えられます。ほぼ仮死状態といえるでしょう。
冬眠期間は11月中旬から3月頃まで。秋頃に体の脂肪をたっぷりと蓄えて冬眠に備えます。交尾は秋頃または冬眠中に行われます。メスは子宮内に精子を留めておき、暖かくなってから妊娠・出産を行うのです。
住宅地のコウモリはどこで冬眠しているのか
アブラコウモリの冬眠場所は、普段から住み着いている場所をそのまま利用するケースがほとんどです。住宅地の中でも、以下のような場所を冬眠場所として選びます。
建物の屋根裏
シャッターの中
壁のスキマ
瓦の下
軒下
倉庫
このように雨風がしのげて暗くて暖かい場所は、アブラコウモリにとって最適な冬眠場所です。
冬眠しているコウモリの駆除が難しい3つの理由
冬眠中のコウモリは大人しいから駆除しやすいのでは?と思われる方もいるかもしれません。ところが、現実はその逆です。冬眠中の駆除は難易度が高くむしろ避けるべきなのです。ここでは、冬眠しているコウモリの駆除が難しい理由を解説しています。
冬眠中は動きが鈍い
先にも解説しましたが、冬眠中のコウモリは仮死状態です。仮にライトや忌避剤を使用したとしても、動きが鈍かったり、動けずに屋内で死んでしまったりする場合があります。冬眠中の追い出しは駆除グッズの効果が得られず、失敗する確率が高まります。
静かにしているので発見しにくい
冬眠中のコウモリはじっと動かず静かにしているので、鳴き声や羽音を手がかりに探すことができません。また、小さなスキマや暗い場所で過ごすので、発見するのは非常に難しいでしょう。
勝手に殺傷することはできない
コウモリは鳥獣保護法で守られている動物なので、個人が許可なく捕獲・殺傷することが禁じられています。もし違反してしまうと、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。早く追い出したいからといって、冬眠中のコウモリに市販の忌避剤などを使うのはおすすめしません。
駆除するなら春か秋がおすすめ
自分たちで駆除する場合は、春か秋の時期に行うことをおすすめします。コウモリは春に妊娠し、夏に出産・子育てを行います。夏の駆除は、生まれたての赤ちゃんコウモリがいるので避けた方が無難です。忌避スプレーを使用した場合、飛べない赤ちゃんが取り残されて死んでしまうからです。
一方で繁殖前である春は、コウモリの数が少なく駆除に最適な季節といえます。赤ちゃんが成長して独り立ちする秋も適した季節です。
冬眠しないコウモリもいる
日本の暖かい地域に生息するコウモリは、冬眠せずに1年中活動している個体もいます。暖かい地域には冬でも昆虫が生息しており、冬眠する必要性がないからです。
コウモリを放置することで起きる被害
自力で追い出すのが難しいコウモリですが、人間の住居と健康に被害を及ぼす可能性があります。ここでは、コウモリを放置することで起きる被害について解説しています。
フンによる建物への被害
コウモリは毎晩多くの昆虫を捕食しますが、体重を一定に保つために1時間足らずで消化してしまいます。食事から排泄までのサイクルが早く、大量のフンを毎日排泄します。フンの大きさは5mm~10mmほどですが、集団生活をしているため建物内で途方もない量のフンが発見されることもしばしば。
フンが蓄積されると建物内に悪臭が広がるだけでなく、木材が腐食して天井が抜け落ちてしまう可能性があります。
健康被害
コウモリは多くの病原菌を保有しており、ヒストプラズマ症やエボラ出血熱などの恐ろしい感染症を媒介していることで知られています。さらに、コウモリの体にはダニやノミが寄生しているので、増殖すると人にまで健康被害が及ぶ可能性があります。
コウモリのフンに含まれているカビや細菌が空気中に飛散して、アレルギー症状を引き起こす危険性もあります。
コウモリの駆除方法
コウモリの被害を防ぐためにも、自分たちにできる対策はあるのでしょうか。ここではコウモリの駆除方法を解説しています。
侵入経路を完全に塞ぐ
コウモリの駆除で最も効果的な方法は、侵入経路を完全に塞ぐことです。コウモリはわずかなスキマを簡単に通り抜けてしまうので、作業は徹底的に行う必要があります。コウモリの侵入口には以下のような場所があります。
窓・雨戸のスキマ
通気口・換気口
エアコンの配管
外壁・屋根のスキマや亀裂
コウモリの侵入口にはフンが落ちている可能性があるので、住宅の周囲や外壁を入念にチェックすることが大切です。小さなスキマでも侵入経路になりうる場所は、全て塞いでしまいましょう。ポイントは侵入口に適した資材選びです。場所によって、以下の資材を使い分けましょう。
シーリング材:小さなスキマや亀裂がある場所
金網(目が細かいタイプ):風を通したい場所
パテ:壁と配管にスキマがある場所
忌避剤を使用する
忌避剤は手軽に購入できて、コウモリの駆除に有効なアイテムです。コウモリはハッカの匂いが苦手といわれているため、ハッカの香りが使われている忌避剤が多数販売されています。天然のハッカ成分が使用されていれば、ペットや子供のいる家庭でも安心して使用できます。忌避剤には以下のような種類があります。
忌避剤の種類 | 特徴 | 使用場所 | 持続性 |
スプレータイプ | 狭いスキマにノズルをいれて噴射できる | 壁のスキマや換気口などの狭い場所 | △ |
燻煙タイプ | 煙を部屋に充満させる | 屋根裏 | ◯ |
ジェルタイプ | 強い臭いがする 容器にジェルを入れて設置する | 窓辺、屋外 | ◎ |
置き型タイプ | 錠剤や袋入り、プラスチック製などの種類がある | 屋根裏 | ◯ |
音や光で追い出す
コウモリは超音波を発して、その反響で物体の位置を確認しています。その習性を利用したコウモリ撃退用の超音波発生装置は、コウモリを混乱させて追い払う効果が見込めます。ただし、コウモリは自身の超音波の周波数をコントロールできるので、すぐに順応してしまい持続的な効果は期待できません。
夜行性で光に敏感な性質を利用して、強い光でコウモリを追い出す方法もあります。光を当てるとその場から逃げることもありますが、慣れてしまうと効果がなくなってしまいます。
コウモリは集団で生活するため、一度家屋に侵入されると被害が拡大しやすくなります。活動が鈍い冬の間に駆除してしまいたいと考えがちですが、その後の処理や法令遵守の観点から考えると春から秋に駆除を行うのが得策です。
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