シロアリ駆除に効果的な薬剤 種類別に詳しく解説
シロアリ駆除に使用する薬剤は、その種類や成分によって効果や安全性が大きく異なります。
こちらでは一般家庭でも安全に使える防除剤から、専門家が使用する強力な駆除剤まで、それぞれの特徴と使用上の注意点を詳しく解説していきます。
目次
シロアリの駆除薬とは
シロアリの駆除薬は、シロアリを効果的に退治するための特殊な薬剤です。
このような薬剤の多くは、シロアリの神経系に直接作用して駆除効果を発揮する殺虫成分と、木材を腐朽や劣化から守るための防腐成分が含まれています。
殺虫成分は、シロアリの体内に入ると神経伝達を阻害し、最終的に死に至らせる働きがある一方、防腐成分は木材の細胞に浸透してシロアリの餌となる成分を分解したり、木材自体を強化したりする効果があります。
駆除薬は、その使用目的や場所に応じて、以下のような形状になっています。
- 液剤:木材の深部や土壌の奥まで浸透しやすく、広範囲に効果を発揮。特に家屋の土台や柱など、建物の重要な構造部分の処理に適している。
- 粉剤:乾燥した場所での使用に適しており、特に湿気の少ない床下や壁の中など、液剤が効きにくい場所での処理に効果的。粉末状なので、シロアリの巣や通り道に直接散布できる。
- ジェル:ピンポイントでの処理が可能で、特に木材の割れ目や小さな穴など、細かい部分の処理に適している。粘着性があるため、壁伝いなど垂直な部分でも使用できる。
いずれの薬剤も使用時には人体や環境への影響を十分に考慮する必要があります。保護具の着用、使用量の管理、周辺環境への配慮など、安全対策を徹底して行わなければなりません。特に子どもやペットがいる家庭では、より慎重になる必要があるでしょう。
効果や安全性が異なる?シロアリの薬ごとの特徴
シロアリ駆除に使用される薬剤には主に7つの系統があり、それぞれ特徴が異なります。
以下では主な種類の特徴と有効成分などについて、詳しく解説していきます。
図-シロアリ駆除薬の系統
系統 | 主な有効成分 | 特徴 | 効果発現 | 持続期間 |
ネオニコチノイド系 | イミダクロプリド、ジノテフラン | 低濃度で高効果、伝播性あり | 1-2週間 | 5-7年 |
ピレスロイド系 | ペルメトリン、シフェノトリン | 速効性が高い、即効性 | 24時間以内 | 半年-5年 |
フェニルピロール系 | フィプロニル | 耐性が生じにくい、長期効果 | 2-3週間 | 5-8年 |
フェニルピラゾール系 | フィプロニル | 幅広い効果、耐性が生じにくい | 1-2週間 | 5-7年 |
カーバメート系 | プロポクスル、フェノブカルブ | 速効性あり、広範囲に効果 | 数日以内 | 2-3年 |
有機リン系 | クロルピリホス | 強力な効果、浸透性が高い | 1週間程度 | 3-5年 |
IGR系(ホウ酸) | ピリプロキシフェン | 成長阻害、環境負荷が低い | 2-4週間 | 4-6年 |
ネオニコチノイド系
特徴
ネオニコチノイド系は、シロアリの神経系に作用する新しいタイプの殺虫剤です。効果が高く、低濃度でも効果を発揮します。
有効成分
イミダクロプリド、ジノテフラン、クロチアニジンなどが主な有効成分として使用されています。
どんな効果があるか
シロアリの神経伝達を阻害し、行動異常や摂食障害を引き起こして死に至らせます。また、シロアリ同士の接触により薬剤が伝播する特徴があります。
効果が出るまでの時間
薬剤との接触から数日程度で効果が現れ始め、1〜2週間で本格的な効果が表れます。
効果持続時間
適切に施工された場合、通常5〜7年程度の効果持続が期待できます。ただし、環境条件により変動する可能性があります。
人体やペットへの影響
哺乳類への毒性は比較的低いとされていますが、使用時は適切な防護具の着用が必要です。特に小さな子どもやペットがいる家庭では注意が必要です。
ピレスロイド系
特徴
ピレスロイド系は天然の除虫菊から抽出された成分を基に開発された薬剤で、速効性が高く、即効的な駆除効果が特徴です。
有効成分
ペルメトリン、シフェノトリン、ビフェントリンなどが主な有効成分として使用されています。
どんな効果があるか
シロアリの神経系に直接作用し、すばやく行動を停止させます。接触毒として働き、シロアリの体表面に付着することで効果を発揮します。
効果が出るまでの時間
薬剤との接触後、数時間から24時間以内に効果が現れ始めます。速効性が高いのが特徴です。
効果持続時間
通常6か月〜5年程度の効果持続が期待できますが、環境条件や使用方法により変動する可能性があります。
人体やペットへの影響
哺乳類への毒性は比較的低いとされていますが、皮膚への接触や吸入には注意が必要です。使用時は必ず手袋やマスクなどの保護具を着用してください。
フェニルピロール系
特徴
フェニルピロール系は、比較的新しい世代の殺虫剤で、耐性が生じにくく、長期的な効果が期待できます。
有効成分
フィプロニルが主な有効成分として使用されています。
どんな効果があるか
シロアリの中枢神経系に作用し、過剰興奮を引き起こして死に至らせます。また、遅効性があり、巣全体に薬剤が伝播する特徴があります。
効果が出るまでの時間
薬剤との接触から約1週間程度で効果が現れ始め、2〜3週間で本格的な効果が表れます。
効果持続時間
適切に施工された場合、5〜8年程度の長期的な効果が期待できます。
人体やペットへの影響
哺乳類への毒性は中程度で、使用時は適切な防護具の着用が必須です。子どもやペットがいる環境での使用には特に注意が必要です。
フェニルピラゾール系
特徴
フェニルピラゾール系は、幅広い害虫に効果を示す殺虫剤で、特にシロアリに対して高い効果を発揮します。耐性が生じにくいことが特徴です。
有効成分
主な有効成分としてフィプロニルが使用されています。この成分は、シロアリの神経系に作用します。
どんな効果があるか
シロアリの中枢神経系に作用し、神経伝達を阻害することで駆除効果を発揮します。接触毒および食毒として働き、巣全体に効果が広がります。
効果が出るまでの時間
薬剤との接触から約3〜7日で効果が現れ始め、2週間程度で本格的な効果が表れます。
効果持続時間
適切に施工された場合、通常5〜7年程度の長期的な効果が期待できます。
人体やペットへの影響
哺乳類に対する毒性は中程度で、使用時は必ず適切な防護具を着用する必要があります。特に子どもやペットがいる環境での使用には十分な注意が必要です。
カーバメート系
特徴
カーバメート系は、比較的古くから使用されている殺虫剤で、速効性があり、広範囲の害虫に効果を示します。
有効成分
プロポクスル、フェノブカルブなどが主な有効成分として使用されています。
どんな効果があるか
シロアリの神経系に作用し、アセチルコリンエステラーゼを阻害することで駆除効果を発揮します。接触毒として働き、即効性があります。
効果が出るまでの時間
薬剤との接触から24〜48時間以内に効果が現れ始めます。
効果持続時間
通常2〜3年程度の効果持続が期待できますが、環境条件により変動する可能性があります。
人体やペットへの影響
哺乳類への毒性が比較的高いため、使用時は十分な注意が必要です。必ず適切な防護具を着用し、子どもやペットを近づけないようにしてください。
ホウ素化合物系
特徴
ホウ素化合物系は環境に優しい天然由来の薬剤で、木材の防腐・防蟻効果が高く、長期的な予防効果があります。
有効成分
八ホウ酸二ナトリウム四水和物(ホウ酸塩)が主な有効成分として使用されています。
どんな効果があるか
シロアリの消化器系に作用し、栄養吸収を阻害することで駆除効果を発揮します。また、木材に浸透して防蟻効果を与えます。
効果が出るまでの時間
薬剤との接触から1〜2週間程度で効果が現れ始めます。即効性はありませんが、確実な効果が期待できます。
効果持続時間
適切に施工された場合、7〜10年程度の長期的な効果が期待できます。木材内部に定着するため、持続性に優れています。
人体やペットへの影響
自然由来の成分のため、人体やペットへの毒性は比較的低いとされています。ただし、使用時は適切な防護具の着用が推奨されます。
ヒノキチオール系
特徴
ヒノキチオール系は、ヒノキなどの天然由来成分を使用した環境にやさしい薬剤です。防カビ効果も併せ持ち、木材保護に効果的です。
有効成分
主な有効成分はヒノキチオールで、檜の心材から抽出される天然の抗菌成分です。
どんな効果があるか
シロアリの体内に入ると代謝を阻害し、また木材に浸透して防蟻効果を発揮します。同時に防カビ・防腐効果も期待できます。
効果が出るまでの時間
薬剤との接触から約2週間程度で効果が現れ始めます。天然成分のため、即効性は期待できませんが、徐々に効果を発揮します。
効果持続時間
適切に施工された場合、3〜5年程度の効果持続が期待できます。ただし、環境条件により変動する可能性があります。
人体やペットへの影響
天然由来成分のため、人体やペットへの安全性が高いとされています。ただし、使用時は基本的な防護具の着用が推奨されます。
シロアリ駆除薬を自分で使うメリットとデメリット
薬剤を使ったシロアリ駆除を業者の手を借りずに自分で行う場合、そのメリットとデメリットを十分に理解しておく必要があります。以下で、主な利点と注意点について詳しく解説します。
自分で行うメリット
- コストが比較的安価
- 業者に依頼するよりも経済的に対処可能専門業者への依頼は数万円から数十万円かかりますが、自分で行う場合は薬剤代のみで済むため、大幅なコスト削減が可能です。
- 必要に応じて薬剤を繰り返し使用できる1回の購入で複数回の処理が可能なため、長期的な予防や維持管理にも経済的です。
- 自分のペースで作業が可能
- 都合の良い時間に実施できる休日や夜間など、自分の生活リズムに合わせて作業を行えるため、仕事や家事の合間に効率よく対処できます。
- 状況に応じて使用量を調整できる被害の程度や範囲に応じて柔軟に使用量を調整でき、無駄なく効率的な処理が可能です。
自分で行うデメリット
- 専門的な知識が必要
- 適切な薬剤の選択が難しいシロアリの種類や被害状況によって最適な薬剤が異なるため、素人では適切な選択が困難です。誤った選択は効果が出ないだけでなく、建物への悪影響も懸念されます。
- 正しい使用方法の習得が必要薬剤の希釈率や散布方法、施工手順など、専門的な知識と技術が必要です。不適切な使用は効果を減少させ、むしろ状況を悪化させる可能性があります。
- 安全面でのリスク
- 誤った使用で健康被害のリスク大薬剤の種類によっては人体に有害な成分を含むため、適切な防護具の使用や換気が不可欠です。正しい知識がないと、深刻な健康被害を引き起こす恐れがあります。
- 子どもやペットへの影響あり子どもやペットは薬剤に対する感受性が高く、誤って接触すると重大な事故につながる可能性があります。使用中・使用後の安全管理が極めて重要です。
- 効果の確実性に懸念あり
- 完全駆除が難しいシロアリの巣の完全な特定や、建物の構造を考慮した効果的な施工が難しく、素人による駆除では被害が再発するリスクが高くなります。
- 被害が大きい場合は業者対応が必要被害が広範囲に及ぶ場合や、建物の構造に影響が出ている場合は、専門業者による総合的な対策が不可欠です。
まとめ
シロアリ駆除薬剤には、主に天然由来成分を使用したヒノキチオール系など様々な種類があり、効果の発現時間や持続性、人体への安全性が異なるなど多様です。
自分で薬剤を使用する場合は、コストが抑えられ、自分のペースで作業できるメリットがありますが、専門的な知識が必要で、誤った使用は健康被害のリスクがあります。被害状況や家族構成を考慮し、必要に応じて専門業者への相談も検討しましょう。
シロアリ被害が深刻な場合や、DIYでの対応に不安がある場合は私たち駆除ザウルスへ、お気軽にご相談ください。