羽アリが飛んできた場合の対処法とシロアリの見分け方
春先や夏の初めに見かけることが多い羽アリ。一見毎年の風物詩的なものだと思いがちですが、同じ羽アリでもそれがシロアリの羽アリだった場合、話は変わってきます。しかもその羽アリを自宅の近くで見かけたとなると警戒を強めなければなりません。
以下ではシロアリの羽アリが飛来した際の具体的な対処方法と、シロアリの羽アリを見分けるポイントについて、わかりやすく解説していきます。
目次
シロアリの羽アリとは
シロアリの羽アリにはどんな特徴があるのでしょうか。
以下が主な特徴です。
種類 | 特徴 | 危険度 |
シロアリの羽アリ | 前後の羽が同じ大きさ、胴体が太い、羽が簡単に取れる | 高(建物被害の可能性あり) |
クロアリの羽アリ | 前羽が後羽より大きい、くびれがある、羽が丈夫 | 低(不快害虫程度) |
大きな違いは、色と胴体の太さです。体色が濃く、くびれがあるのが普通のアリ、白っぽくて胴体がずん胴なのがシロアリです。羽が取れやすいのもシロアリの羽アリの特徴ですが、少し触れただけでも簡単に落ちます。ただ、これは触ってみないと分からない部分です。
このように、羽がついている分胴体が見えにくいため、それがシロアリなのかクロアリなのか見分けがつきにくいのがやっかいです。
シロアリの羽アリの特徴
シロアリの羽アリの特徴をまとめます。
・体長は通常6-7mm程度で、全体的に白っぽい乳褐色の柔らかな色合いをしており、光に透かすと半透明に見える
・前羽と後羽がほぼ同じ大きさで、両方とも薄い膜状の構造をしており、翅脈のパターンも左右対称になっている
・胴体は円筒形で太く、アリのような細いくびれが見られず、全体的にずんぐりとした体型をしている
・羽は本体との接合部が非常に弱く、わずかな接触や振動でも簡単に抜け落ちる
クロアリの羽アリの特徴
クロアリの羽アリの特徴は以下の通りです。
・体長は4-10mm程度で、全体的に黒褐色から濃い茶色をしており、光沢のある外骨格を持っているのが特徴です
・前羽が後羽より明らかに大きく、翅脈のパターンも異なっており、飛行時には前後の羽の大きさの違いが目立ちます
・胴体には典型的な社会性昆虫の特徴である、はっきりとしたくびれ(腹部と胸部の間の細い部分)があり、これによってアリ特有の体型を形成しています
・羽は本体にしっかりと固定されており、丈夫な構造をしているため、通常の接触や振動では簡単には脱落しません
羽アリの発生する時期と環境条件
シロアリの羽アリは、新しい巣を作るために既存の巣から飛び立つ若い女王と雄アリです。主に春季(3月〜5月)と秋季(9月〜11月)、気温が15〜25度、湿度が70%以上の環境条件が整った時期に活発に活動します。
雨上がりの蒸し暑い日や、日没前後の薄暗い時間帯に多く飛来する傾向があり、この時期には特に注意が必要です。
羽アリの発生が意味するもの
羽アリが発生している場所の近辺は、シロアリの巣が近くにあることを示すサインです。もし建物の近くで羽アリを見つけた場合、警戒心を強めなければなりません。
羽アリが発生した状況をふまえ、適切な対策をすみやかに行いましょう。
シロアリの巣の存在を示す警告サイン
シロアリの巣がある可能性が高いサインには、以下のようなものがあります。
サイン | 特徴 | 発見しやすい場所 |
羽アリの大量発生 | 春と秋の温暖な時期に集中 | 窓際、照明の周り |
木材の空洞化 | 叩くと空洞音がする | 柱、床下、廊下 |
蟻道の形成 | 泥状の筋状の道 | 基礎、外壁、床下 |
木くずの堆積 | 細かい木くずや糞 | 壁際、床の隅 |
建具の変形 | 開閉が悪くなる | ドア、窓枠周辺 |
各警告サインについて
- 羽アリの大量発生: シロアリの新しい巣を作るために飛び立つ羽アリは、特に気温15〜25度、湿度70%以上の環境で活発になります。雨上がりの夕方に多く見られ、室内の明かりに誘われて侵入することが多いです。
- 木材の空洞化: シロアリは木材の内部から食べ進むため、外見は正常に見えても内部が既に空洞化している可能性があります。軽く叩いて確認することで、被害の有無を判断できます。
- 蟻道の形成: シロアリは乾燥を避けるため、土や糞を固めて筋状の通り道(蟻道)を作ります。この蟻道は特に基礎部分や壁面で見つかることが多く、重要な発見の手がかりです。
- 木くずの堆積: シロアリが木材を食べた際に出る木くずや糞は、粒状や粉状で、壁際や床の隅に堆積します。新しい木くずが見つかった場合、シロアリが巣食っている可能性が高いです。
- 建具の変形: シロアリ被害により木材が劣化すると、建具に歪みが生じます。ドアの開閉が悪くなったり、窓枠にゆがみが出たりするのは、被害が進行している証拠かもしれません。
羽アリの発生場所で危険度は異なる

羽アリの発生場所によって、建物被害の可能性をある程度判断できます。
最も警戒が必要なのは室内の床や壁、床下、天井裏からの発生です。このような場所から羽アリが出てきた場合、建物内部に巣が形成されている可能性が高いです。
また、建具周辺や柱、梁の近くで羽アリを発見した場合も、建物の構造に直接影響を及ぼす可能性があるため、早急な防除が必要な箇所です。
次に注意すべきは、ベランダや縁側、外壁に接した場所での発生です。
こういった場所で羽アリを見つけた場合、建物の周辺部でシロアリが活動している可能性が大きく、定期的な観察と予防的な対策が必要です。
一方、庭先や玄関先で単発的に見つけた場合や、外灯に集まってくる程度の羽アリは、比較的危険度が低いと考えられます。とはいえこれらの場所でも連日見られる場合は、周辺の環境を詳しく調査する必要があります。
羽アリを発見した場合、緊急の対処方法
見つけた羽アリ自体がクロアリなのか、シロアリなのかの見極めも重要です。
シロアリの羽アリを発見した場合、迅速な対応が必要になってきます。
羽アリ発見時の初期対応手順
対応手順 | 具体的な作業 |
1. 発見場所の記録 | • 写真撮影 • 日時と場所のメモ • 数の確認 |
2. 羽アリの捕獲 | • 掃除機での吸引 • 粘着テープでの採取 • 密閉容器での保管 |
3. 侵入経路の特定 | • 窓や換気口の確認 • 壁のひび割れチェック • 床下や天井裏の点検 |
4. 応急処置 | • 侵入箇所の一時的な封鎖 • 殺虫剤の散布 • 湿気対策の実施 |
発見場所の記録
まずはどこで羽アリを見つけたのか、どのくらいの数がいたのかなど状況をメモしておきます。写真はシロアリ駆除業者などへ相談する際に役に立ちます。
羽アリの捕獲
種類を特定するため、できるだけ状態の良い羽アリを採集しておきます。掃除機で吸引する場合は、新しいゴミパックを使用することで、後での確認が容易になります。
侵入経路の特定
どこから入ってきたのか羽アリの侵入経路がわかれば対策がしやすくなります。特に雨天後や夕方に多く発生する場合は、その周辺を重点的にチェックしておきましょう。
応急処置
専門家による本格的な対策までの一時的な処置として、侵入箇所をふさぎ、市販の殺虫剤を適切に使用します。ただこれはあくまで応急的な措置で、本格的な対策の代わりにはなりません。湿気対策も重要で、除湿器の使用や換気の改善を行います。
簡単にできる応急措置
羽アリを見つけたとき、防除はプロに相談するのがベストです。しかし何らかの都合ですぐに対応できない場合、以下のような対策を行うと安心です。
対処方法 | 必要な道具 | 概算費用 |
• 羽アリの物理的な除去 • 掃除機での吸引 • 粘着テープでの捕獲 | • 掃除機 • 粘着テープ • ごみ袋 | 既存の掃除機を使用 粘着テープ 200円程度 |
• 市販の殺虫スプレーの使用 • 羽アリの発生箇所に直接噴霧 | • 殺虫スプレー • マスク • 手袋 | 殺虫スプレー 1000円前後 マスク・手袋 500円程度 |
• 侵入経路の一時的な封鎖 • コーキング材での隙間埋め • 養生テープでの応急処置 | • コーキング材 • 養生テープ • カッター | コーキング材 1000円前後 養生テープ 500円程度 |
• 湿気対策 • 除湿剤の設置 • 換気扇の使用 | • 除湿剤 • 換気扇 | 除湿剤 500円前後 既存の換気設備を使用 |
シロアリ駆除業者に相談すべき状況と判断基準
シロアリの羽アリを見つけた場合に業者に防除を依頼すべきか、様子を見るべきかの判断基準について解説します。
建物内部からの羽アリの発生
建物の構造材がすでに被害を受けている可能性が高く、早急な専門的診断が必要です。このような内部からの発生は、シロアリが建物の木材を餌として活発に活動しているサインです。
1週間以上の継続的な発生
1週間以上続けて羽アリが見られる場合、それは一時的な発生ではなく、近くに巣があると判断できます。こうした状況は、シロアリコロニーが建物内または近くに定着していることを意味し、被害の拡大を防ぐために迅速な対応が必要です。
複数箇所からの同時発生
複数の箇所から同時に羽アリが見られる場合、被害が広範囲に及んでいる可能性があり、建物全体の調査が必要です。
特に、建物の異なる階層や離れた場所での同時発生は、複数のコロニーが存在している可能性や、被害が建物全体に広がっている恐れがあります。
床や壁に変形や異常が見られる
床や壁の異常が見られる場合、シロアリによる構造的な被害が進行している可能性が高いです。床のたわみ、壁紙のふくらみ、ドアや窓枠の歪みなどは、内部の木材が既に重大な損傷を受けていることを示す危険なサインです。
木材から出てくる粉状の物質の発見
粉状の木くずが家の中で見られる場合、シロアリが巣食っている可能性が高く、すぐに対応が必要です。この粉状の物質(フラス)は、シロアリが木材を食害した際の排出物で、被害が既に進行していることを示す決定的な証拠です。目視で確認できる段階まで来ていると、被害が広範囲に及んでいる可能性が高く、専門業者による詳細な調査が不可欠です。
まとめ
ここまで羽アリの特徴と発見した場合の対処方法などを解説してきました。
シロアリ対策は、早期発見と適切な予防措置が重要です。定期的な点検、湿気対策、建物周辺の管理を徹底することで、大きな被害を防ぐことができます。
羽アリを見つけて不安を抱えている方、シロアリがいるか調査したい方など駆除ザウルスへお気軽にご相談ください。