シロアリ防除はいつ行うべき?方法やタイミング、効果について解説
シロアリは家屋に深刻な被害をもたらす厄介な害虫ですが、適切な防除によって建物へのダメージを最小限に抑えることができます。
以下ではシロアリ防除について、方法や効果を解説していきます。
シロアリの防除とは
シロアリ防除は、シロアリから住宅などの建物を長期的に保護するための処置を行うとともに、シロアリの被害を受けている場合その駆除を行うことを言います。
駆除と似ていますが、駆除に加えて予防的な処置も同時に行うのが防除です。
「シロアリの防除」とは
- 新築時の予防処理:建物の完成時に行う初期の防蟻対策
- 既存建築物に対する処理(被害が確認された場合の緊急的な駆除と予防、または予防的な処置のみ)
シロアリ駆除と防除の違い
シロアリの駆除と防除の違いは以下のようにまとめることができます。
シロアリ防除 | シロアリ駆除 |
予防的な対策と駆除のセット | 既存の被害に対する対処が主な目的 |
長期的な予防措置 | 被害にあっている建物での駆除作業 |
計画的に実施 | 発見次第、緊急的に実施 |
定期的なメンテナンスがセット | 一時的な処置として実施 |
シロアリ対策には「防除」と「駆除」の2つの方法があります。
防除は予防的な措置と既存のシロアリの駆除を組み合わせた総合的な対策で、建物を長期的に保護します。一方、駆除は既に発見されたシロアリを除去する緊急的な処置です。
防除の主な方法には、建物の基礎周りへの薬剤散布による土壌処理、木材部分への薬剤処理、そして環境に配慮したベイト工法があります。
これらの処理は専門の資格を持つ業者が行い、通常数年おきに再処理を継続して実施し、効果を維持します。
駆除はシロアリの被害が見つかった時点で行われる一時的な対策です。通常はシロアリの駆除を行ったあとに再度シロアリ被害に遭わないようにするための処置が行われます。
効果的なシロアリ対策は、シロアリが見つかってから対処するのではなく、シロアリを寄せ付けないようにするようにする予防的な対策が大事になってきます。
ベイト工法
環境に配慮した比較的新しい方法で、生態系への影響を最小限に抑えながら、シロアリの習性を利用して特殊な薬剤入りの餌で効果的な駆除を行います。
シロアリ防除で行うこと
シロアリ防除では、建物を長期的に保護するため以下のような作業を行います。
1. 予防的な土壌処理
建物の周囲の土壌に特殊な防蟻剤を計画的に散布し、地中からのシロアリの侵入を効果的に防ぐ強固なバリア層を形成します。こうした処理は建物へシロアリを近づけさせないための重要な対策です。
2. 木材の保護処理
建物の木部に専用の防蟻薬剤を塗布または注入することで、シロアリによる食害を予防します。特に重要な構造材や接地部分の木材にはより入念な保護処理を施し、シロアリの食害発生リスクを最小限に抑えていきます。
3. シロアリ駆除
シロアリがすでにいる場合、駆除作業を行います。中でもベイト工法は環境に配慮した比較的新しい方法で、生態系への影響を最小限に抑えながら、シロアリの習性を利用して特殊な薬剤入りの餌で効果的な駆除を行います。
4. 定期的な点検
最初の防除作業から数年おきに建物の基礎部分や木部の状態を専門的な観点から定期的に点検し、シロアリの活動痕や被害の早期発見に努めます。床下や壁際など、見落としやすい場所も入念にチェックします。
5. 環境管理
建物周辺の適切な湿気対策や十分な通気性の確保、木材の適切な乾燥状態の維持など、シロアリが活動しにくい環境づくりを総合的に行います。雨どいの修繕や排水設備の点検なども含めた包括的な環境管理によって隙のないシロアリ対策が叶います。
シロアリ防除はやっておいたほうが良い?そのメリットとは
シロアリによる被害は、建物の構造的な問題から資産価値の低下まで、深刻な影響をもたらす可能性があります。
そのため適切な防除が重要になってきますが、防除を行うことで以下のようなメリットがあります。
1. 建物の寿命が延び、資産価値を落とさない
定期的なシロアリ防除処理によって、シロアリから建物の構造が長期的に保護されるので、資産価値の維持につながる点は大きなメリットです。
逆にいえばシロアリ防除を行わずに運悪く寄生されてしまった場合、建物の構造が徐々に弱体化し、修復が困難になるほどの深刻な劣化につながります。
最終的には50年持つ建物が30年しか持たず、資産価値を大きく減らすことになるかもしれません。
2. 安全性の確保
シロアリは建物に使われている木材を劣化させ、構造部分にもダイレクトにダメージを与えます。最悪の場合、建物の倒壊リスクにもつながるかもしれません。
防除を行わずにシロアリを自由にした結果、床が抜けたり、壁や天井が崩落したりする危険性が著しく高まり、生命に関わる重大な事故につながる可能性があります。
特に地震や台風などの自然災害時には、シロアリ被害を受けた建物は通常以上のリスクにさらされます。
3. 建物の修繕費用が減らせる
シロアリの予防や、早期発見・早期対策によって、被害が拡大してからの大規模修繕や建て替えなどの高額な費用を避けることができます。
定期的な点検と予防的な防除措置によって、建物へのダメージを減らせれば修繕費用も最小限に抑えることが可能です。
防除せずにシロアリに巣くわれ、構造部の劣化が進んでしまうと補修費用が数百万円から場合によっては数千万円規模まで膨れ上がる可能性がありますし、被害が建物全体など広範囲に及ぶと建て替えが必要となるケースもあります。
4. 住環境の快適性維持
シロアリの被害は、建物の気密性や断熱性に深刻な影響を与え、居住環境を著しく悪化させる可能性があります。
建物に使用されている建材の劣化によってカビの発生や結露の増加、床下や壁内の湿気上昇、冷暖房効率の低下による光熱費の上昇など、生活の質が著しく低下する恐れがあります。
また、シロアリの活動に伴う不快な音や匂い、さらには木材の腐朽による建物の歪みなども、快適な住環境を損なう要因となります。
シロアリ防除の効果まとめ
シロアリ防除の効果は以下の通りです。
効果 | 詳細 |
建物の寿命延長と資産価値の維持 | 構造体を長期的に保護し、建物の耐久性を向上させる |
安全性の確保 | 床の抜け落ちや壁・天井の崩落などの危険を防ぎ、特に自然災害時の建物の安全性を高める |
修繕費用の削減 | 早期発見・対策により、大規模修繕や建て替えなどの高額な費用を回避できる |
住環境の快適性維持 | • カビや結露の防止 • 適切な気密性・断熱性の維持 • 冷暖房効率の維持 • 不快な音や匂いの防止 |
シロアリの防除を行わずに被害に遭った場合との将来的な費用比較
シロアリ防除を行い被害にあわなかった場合と防除を行わずに被害にあった場合、修繕費にどれくらいの差が出てくるのか、費用シミュレーションを行ってみましょう。
対策 | 費用項目 | 金額 |
防除実施 | 初期防除処理 | 15-20万円 |
10年後の再処理 | 10-15万円 | |
20年後の再処理 | 10-15万円 | |
定期点検(年1回×30年) | 60万円 | |
30年間の総コスト | 95-110万円 | |
防除未実施で被害発生 | 構造材の修繕 | 500-1000万円 |
床材・壁材の張替 | 200-400万円 | |
設備修繕 | 100-200万円 | |
30年間の総コスト | 800-1600万円以上 |
上記の通り、最悪の場合数千万単位の違いになります。
定期的な点検と防除は、資産の維持にとって非常に重要になることがわかります。
シロアリ防除の費用相場:業者施工とDIY対策の比較
シロアリ防除の費用は建物の規模や被害状況、選択する防除方法によって大きく異なります。
ここでは、一般的な戸建て住宅における費用相場と、業者施工とDIY対策それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説します。
h3:業者による防除施工の費用相場
戸建て住宅(30坪程度)の場合の標準的な費用目安
- 予防的な防除処理:通常15万円~25万円
建物の周囲や床下への薬剤散布、防蟻シートの設置などの予防措置を含む総合的な処理費用です。使用する薬剤の種類や施工範囲によって変動することがあります。
- 被害が見つかった場合の駆除処理:20万円~40万円
被害箇所の特定、薬剤による駆除処理、被害を受けた木材の補強や交換、再発防止のための予防処理などを含む包括的な対策費用となります。被害の程度や範囲によって費用は大きく変わる可能性があります。
- 定期点検契約(年間):2万円~5万円
年に1~2回の定期的な建物点検、シロアリの生息調査、予防処置の効果確認などが含まれます。早期発見による被害拡大防止のために不可欠な作業です。
※上記の費用は一般的な相場であり、建物の構造、築年数、立地条件、被害状況、地域の相場などの要因によって実際の費用は変動する場合があります。また、使用する薬剤の種類や防除方法の選択によっても費用は異なってきます。
DIYによる防除施工の費用相場
DIYで行う場合の基本的な費用と必要な物
- 薬剤(シロアリ予防液):1万円~2万円
薬剤の種類や効果期間によって価格が変動します。より効果の高い薬剤を使う場合は、3万円程度になることもあります。
- 散布器具一式:5千円~1万円
加圧式噴霧器、延長ノズル、保護メガネ、防護マスク、ゴム手袋などの必要な安全装備を含みます。道具のクオリティはかなり重要で、それによって作業効率が向上し、長持ちします。
- 点検用道具(ドライバー、懐中電灯など):3千円~5千円
基本的な工具セットに加えて、木材の状態を確認するための打診棒や含水率計などのオプション的な道具を追加する場合は、1万円以上かかってしまうかもしれません。
※DIYの場合、専門的な知識や技術が必要で、効果が限定的になる可能性があります。適切な安全対策をとらなかった場合、薬剤による健康被害のリスクもあります。
まとめ
ここまでシロアリ防除について紹介しました。
防除は専門業者による施工とDIYの両方の選択肢があります。業者施工は確実な効果が期待できますが、費用が高額になります。一方、DIYは経済的ですが、専門知識や技術が必要で、効果が限定的になる可能性があります。
いずれの場合も定期的な点検を行い、必要に応じて再処理を実施することで、より効果的な防除が可能になります。
シロアリ被害が深刻な場合や、DIYでの対応に不安がある場合は私たち駆除ザウルスへ、お気軽にご相談ください。