効果的なシロアリの防蟻処理とは
家をシロアリの被害から守るために行われる処理を「防蟻処理」と言います。
以下では防蟻処理の方法や処理の流れ、費用などを詳しく解説していきます。
目次
防蟻処理とは何か
防蟻処理は、シロアリの被害を防ぐために、建物の木材部分や土台に特殊な薬剤を散布・塗布する処理のことです。
主に新築時や改修時に行われ、シロアリの侵入と被害を未然に防ぐことを目的としています。
適切な防蟻処理を行うことで建物の耐久性を保ち、長期的な維持管理が可能になります。
防蟻処理が必要な場所
以下のような場所に防蟻処理が必要です。
基礎部分・土台
家の土台をなす基本的な部分で、地面との接点となるため、シロアリの主要な侵入経路として特に慎重な防蟻処理が必要です。
シロアリによる基礎や土台の食害は建物全体の安全性に関わる重大な問題となります。
床下の木材部分
空気の循環が悪く湿気がこもりやすい環境で、シロアリの被害を受けやすい重要な箇所です。
特に床下収納がある場合は、定期的な点検と適切な防蟻処理が不可欠です。
地面と接する柱や木材
土壌からの水分や湿気の影響を直接受けやすく、シロアリの標的となりやすい部分です。
木材が腐食すると建物の構造強度に影響を与える可能性があるため、入念な防蟻処理が重要です。
建物の周辺の土壌
シロアリの巣や侵入経路になりやすい場所で、建物全体を守るために適切な薬剤処理が必要です。
特に植栽がある場合は、根からの水分移動にも注意が必要です。
浴室・キッチンなどの水回り
日常的な水の使用により常に高い湿度が保たれる場所で、配管周りの木材に特に注意が必要です。
水漏れや結露による木材の劣化がシロアリ被害を招く可能性が高いため、徹底的な防蟻処理と定期的な点検が不可欠です。
外壁と接する木材部分
雨水や結露の影響を受けやすく、シロアリの侵入口となる可能性が高い箇所です。
特に軒下や雨どい周辺は水分が溜まりやすいため、入念な防蟻処理と防水対策の両方が必要です。
シロアリ予防の薬剤持続時間
防蟻処理の薬剤には効果の持続時間があり、薬剤にもよりますが一般的に5〜7年程度です。
この期間は薬剤の種類や濃度、施工方法によって異なります。また、建物の状態(木材の含水率や腐朽の程度など)や環境条件(地域の気候、地形、地下水位など)によって効果の持続期間は大きく変動する可能性があります。
そのため、専門家による定期的な点検(年1回程度)を実施し、薬剤の効果が低下している箇所や新たな侵入経路が見つかった場合には、必要に応じた再処理が求められます。
特にシロアリの活動が活発になる春から夏にかけては、より慎重なチェックが必要です。
防蟻処理はいつ行う?
防蟻処理を行うタイミングは、まず新築時の施工段階での予防的な処理がひとつあります。
次に住宅のリフォームや改修工事の際、既存の防蟻処理の状態を確認しながら新たな処理を行うのが一般的です。
そのほかにもシロアリの定期点検で木材の劣化や湿気の侵入が確認された場合や、シロアリの活動の痕跡(蟻道や羽アリの発見など)が見つかった際にも、早急な処理が必要となります。
特に築5年以上が経過した住宅については、建物の経年変化や環境の変化により防蟻処理の効果が徐々に低下している可能性があるため、年1回程度の定期点検と併せて防蟻処理の更新を検討してください。
また住んでいる地域で近隣住宅にシロアリ被害が報告された場合は、同様の環境下にある自宅も被害を受けるリスクが高まるため、予防的な処理の実施が賢い選択です。
防蟻処理はどんな方法で行う?
防蟻処理には土壌に行う処理と木部に行う処理があります。工法には大きく分けて、ベイト工法、バリア工法の2種類があります。
それぞれ解説していきます。
土壌処理
土壌処理とは、建物の周辺地盤や基礎周りの土壌に防蟻薬剤を注入・散布する方法です。
この処理で地中からのシロアリの侵入を防ぎ、建物を保護します。土壌処理は特に新築時に重要で、建物の基礎工事時に実施されることが多く、シロアリの主要な侵入経路を遮断するための効果的な処置です。
木部処理
木部処理とは、建物の木材部分に直接防蟻薬剤を塗布または注入する方法です。
主に柱や土台、床下の木材など、シロアリの被害を受けやすい箇所に対して行われます。木部処理によって、木材自体にシロアリ忌避効果が加わり食害を防ぐことができます。
新築時の予防処理だけでなく、既存の建物でもシロアリの被害が確認された際の対処方法として用いられます。
ベイト工法
ベイト工法は駆除方法のひとつで、シロアリの生態を利用する方法です。
シロアリが好む特殊な餌(ベイト剤)を地中に設置し、それを通じて巣全体に薬剤を運ばせることで、コロニー全体を駆除します。
ベイト工法は環境への負荷が少なく、巣の根本的な除去が可能という特徴がある一方、効果が表れるまでに時間がかかり、定期的な観察とベイト剤の交換が必要です。
バリア工法
バリア工法とは、物理的なバリア(障壁)を設置して、シロアリの侵入を防ぐ方法です。
建物の周囲に特殊な薬剤を含む防蟻シートや防蟻網を設置したり、基礎部分に薬剤を注入して化学的なバリアを形成したりします。
バリア工法は即効性があり、長期的な予防効果が期待できます。特に新築時の予防処置として効果的で、建物全体を確実に保護できるメリットがあります。
防蟻処理の流れ
防蟻処理は以下のような流れで行われます。
- 事前調査
建物の状態、シロアリ被害の有無、木材の劣化状況、床下や壁内の湿気の状態、周辺環境などについて、シロアリ業者などが詳しく調査を実施。この段階で建物の弱点や潜在的なリスク箇所も特定します。
- 処理方法の決定
詳細な調査結果に基づき、建物の状態や被害状況に最も適した防蟻処理方法を選定します。土壌処理、木部処理、ベイト工法、バリア工法などの中から、建物の特性や予算に合わせて最適な方法や、複数の工法を組み合わせた総合的な対策を検討します。
- 施工準備
効果的な防蟻処理を行うため、家具や収納品の移動、床下点検口の確保、作業スペースの確保などの準備作業を行います。また、必要に応じて建材の一部撤去や清掃作業も実施します。
- 防蟻処理の実施
選定した工法に基づいて、専門業者が防蟻処理を実施します。薬剤の種類や濃度、施工方法は建物の状態や環境条件に応じて適切に調整され、安全性に十分配慮しながら作業が進められます。
- 効果の確認
処理後の状態を詳しく確認し、薬剤の浸透具合や施工箇所の仕上がりを点検します。必要に応じて追加処理や補強作業を実施し、防蟻効果を高めていきます。
- 定期点検の計画
今後の維持管理のため、建物の特性や地域性を考慮した定期点検スケジュールを設定します。点検頻度や重点確認箇所を決め、長期的な予防管理体制を整えます。
防蟻処理はいくらくらいかかる?
防蟻処理の費用は家の面積によって異なってきます。
一般的な戸建て住宅(30坪程度)の場合、15万円〜30万円程度が目安となります。建物の状態や被害の程度によって追加の処理が必要になる場合もあり、その場合は費用が増加することがあります。
防蟻処理の相場
防蟻処理の相場は複数の業者を平均したところ、1坪あたり6,000円、1㎡あたり1,800円程度です。
防蟻処理の坪数別価格目安(1坪あたり5,700円として計算)
坪数 | 概算費用 |
10坪 | 57,000円 |
20坪 | 114,000円 |
30坪 | 171,000円 |
40坪 | 228,000円 |
50坪 | 285,000円 |
※ただし、この価格は基本的な処理費用の目安であり、以下の要因で変動する可能性があります。
- 処理方法
- 建物の状態
- 被害の程度による追加処理
- 地域
- 業者
防蟻処理の費用を抑えるには
防蟻処理の費用を抑えたい場合、以下のような方法があります。
定期的な点検と早期発見
シロアリの被害を早期に発見することで、大規模な処理や高額な修繕費用を避けられます。定期点検を実施し、シロアリの活動の兆候や木材の劣化状態を迅速に把握することで先手先手の対策を取りましょう。
複数の業者から見積もりを取る
防蟻処理を提供する業者によって価格設定や使用する薬剤、施工方法が異なるため、複数の業者から詳細な見積もりを取りましょう。
サービス内容や保証条件も含めて総合的に比較検討し、品質と価格のバランスを見ながら業者選定を行うのが理想的です。
予防処理を優先する
シロアリの被害が深刻化してからの処理は、建物の構造部分の補修や交換が必要となり、コストも高くなりやすいです。
定期的な予防的処理を行えば結果的に修繕コストの削減につながるだけでなく、予防処理が建物の資産価値の維持にプラスになります。
保証期間中の定期点検を活用
新築時の防蟻処理には通常5年程度の保証が付帯されているため、この期間中に提供される定期点検サービスを確実に受けることで、追加費用なしで専門家による状態確認や早期発見が可能となります。
また保証期間中に被害が判明しても保証の対象となるため、修繕費用を抑えることができます。
防蟻処理は自分でできる?業者に依頼すべき?
防蟻処理をDIYで行うことは可能ですが、専門的な知識と技術が必要なため、業者への依頼をおすすめします。
以下業者に依頼するメリットと自分で行うメリットをまとめました。
業者に依頼するメリット
項目 | 理由 |
効果と安全性 | 専門業者は適切な薬剤選択と施工方法を熟知し、確実な防蟻効果と安全性を確保できる |
保証サービス | 施工保証が付帯されるため、万が一の際も安心 |
法的対応 | 防蟻剤取り扱いの法的規制に対応した資格と経験を保有 |
品質管理 | 専門家による建物全体の詳細なチェックで、見落としのない施工が可能 |
DIYのメリット
項目 | 理由 |
コスト削減 | 業者への支払いが不要で、材料費のみで済む |
時間の自由度 | 自分の都合に合わせて作業を進められる |
緊急対応 | 必要な時にすぐに対処できる |
知識習得 | メンテナンスのノウハウを身につけられる |
まとめ
ここまでシロアリの防蟻処理について解説してきました。
防蟻処理は住宅を守るために必要な対策で、適切な施工と定期的なメンテナンスが必要不可欠です。
業者選びは慎重に行い、専門知識と実績のある信頼できる業者に依頼することをおすすめします。
シロアリ防蟻は駆除ザウルスへお気軽にご相談ください。