イエシロアリの特徴と生態

イエシロアリは日本に住むシロアリの中で、最も被害件数の多い種類です。

なぜイエシロアリは数多くの被害をもたらしているのでしょうか。以下ではイエシロアリの特徴を解説していきます。

イエシロアリの特徴と生態 イエシロアリ01

イエシロアリの特徴

イエシロアは体長4-5mmの黄褐色をしており、暗く高温多湿な環境を好んで生活しています。

木材を主食としており、体内に特殊な微生物を持つことで木材中のセルロースを効率的に分解し、栄養として吸収する能力を備えています。

活動は主に夜間に行われ、数千から数万匹規模の大きな集団で生活する高度な社会性昆虫です。

女王アリを中心とした階級制社会を形成し、それぞれの個体が決められた役割を果たしながら、巣全体として効率的に機能しています。

 

イエシロアリとヤマトシロアリの見分け方

 

比較項目イエシロアリヤマトシロアリ
兵アリの頭部長い楕円形四角形に近い
活動時間夜行性昼行性
好む環境建物内部(高温多湿)屋外の倒木・枯れ木

 

イエシロアリのほかに日本で家屋の食害をもたらすシロアリにヤマトシロアリという種類があります。

同じシロアリで一見すると見分けがつきにくい両者ですが、イエシロアリとヤマトシロアリは、主に以下の3つのポイントで見分けられます。

 

兵アリの頭部の形状

イエシロアリの兵アリは特徴的な長い楕円形の頭部になっており、この形状は効果的な防衛活動を可能にします。

一方、ヤマトシロアリの兵アリは四角形に近い頭部で、この違いは両種を見分ける大きなポイントです。

 

活動時間

イエシロアリは完全な夜行性で、日没後から夜明け前にかけて最も活発に活動します。

イエシロアリが暗闇の中で効率的に行動できる特性を持っているのとは対照的に、ヤマトシロアリは昼行性で、日中の明るい時間帯に活動が集中します。

 

好む環境

イエシロアリは建物内部の高温多湿な環境を特に好み、温度が25度前後で湿度が高い場所に営巣する傾向があります。

これに対しヤマトシロアリは主に屋外の倒木や枯れ木に生息し、自然環境の中で生活することを好みます。

 

イエシロアリの兵アリ

シロアリには女王アリ、兵隊アリ、働きアリといった職アリシステムが発達しており、それぞれ身体的な特徴が異なりますが、その中でも兵アリはかなり特殊な形状をしています。

 

独特な長い楕円形の頭部と発達した大きな顎を持ち、体長は約4-5mmに達します。頭部は濃い茶色で非常に硬質な構造をしており、それに対して胴体部分は特徴的な白っぽい色をしています。

兵アリの最も重要な使命は巣の防衛で、外敵の侵入を察知すると、即座に強力な顎を使って威嚇や攻撃を行います。

また、頭部には特殊な腺があり、そこから分泌される白色の防御物質は強力な武器です。この液体は粘着性があり、敵を物理的に妨害したり、化学的な防御物質として機能したりすることで、効果的に敵を撃退することができます。

兵アリはこれらの特徴を組み合わせることで、コロニー全体の安全を確保する重要な役割を果たしています。

 

イエシロアリの羽アリ

イエシロアリの羽アリはオスとメスの体サイズが同じで、翅脈が細かく密集しているのが特徴です。

また、羽アリが発生した場所には脱落した羽が大量に残されていることがほとんどです。

体長は約8mmで、黒褐色の体に半透明の羽を持ち、夕方から夜にかけて飛び立つ習性があります。

 

ほかの羽アリとイエシロアリの羽アリ

各シロアリの羽アリには以下のような特徴があり、イエシロアリと区別できます。

 

種類体長体と羽の特徴飛翔時期
イエシロアリ約8mm黒褐色の体、半透明の羽主に6月、夕方から夜間
ヤマトシロアリ約10mm黒色の体、光沢のある羽主に春季、日中
アメリカカンザイシロアリ約6mm茶褐色の体、翅脈が少ない年中(特に春と秋)

 

これらの特徴をふまえて発生している羽アリの種類を特定し、適切な対策をとることができます。特に体長と飛翔時期には注意しましょう。

 

イエシロアリと同じ時期に発生する羽アリ

イエシロアリと同時期に発生する羽アリに、ケアリという種類のアリがいます。

特徴は体長が約4-5mm、茶褐色の体色で、体全体に細かな毛が生えているのが特徴的です。また、触角は12節で構成され、胸部と腹部の境目がはっきりとしています。

体表の毛は光の当たり方によって金色に輝いて見えることがあり、これがケアリという名前の由来となっています。

ケアリが発生した場合、その生息環境がイエシロアリの好む環境と重なることが多く、イエシロアリの被害に遭っている可能性もあるため、詳しい調査と適切な対応が必要です。

 

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イエシロアリの巣

 

特徴詳細
好む場所建物の土台、床下、壁の中など人目につきにくい場所
環境条件高温多湿、特に水回りや配管周辺
内部構造女王室、育児室、貯蔵室、換気システム
規模成熟したコロニーで数十万匹規模
特徴的な場所結露が発生しやすい場所、湿気の多い場所

 

イエシロアリの巣は通常、建物の土台や床下、壁の中などの人目につきにくい場所に巣を作ります。

こうした場所はイエシロアリが活動するのに理想的な環境です。

彼らは高温多湿な環境を好むため、水回りの近くや結露が発生しやすい場所、また配管周りなどの湿気の多い場所に巣を作ることが多いです。

一度巣食ったイエシロアリの巣は時間とともにかなり大きく成長し、成熟したコロニーでは数十万匹もの個体が見つかることも珍しくありません。

巣の内部は非常に精巧で複雑な設計になっており、女王アリの生活空間である女王室をはじめ、幼虫の世話をする育児室、食料となる木材を貯蔵する貯蔵室、さらには温度と湿度を適切に保つための換気システムまでが備えられ、効率的かつ快適な生活環境が整えられています。

この高度に組織化された巣の構造こそが、イエシロアリが大きく数を増やす要因です。

 

イエシロアリの巣はどこにある?

イエシロアリの巣は主に以下のような場所で見つかります。

  • 床下空間
    • 特に湿気の多い場所や水回りの近く - 結露や水漏れによって木材が劣化しやすく、イエシロアリが活性化する
    • 配管周辺の暗所 - 水道管や排水管の周囲は常に湿度が高く、住みやすい

 

  • 建物の構造材内部
    • 柱や梁の中 - 木造建築物の重要な構造部材であるため、一度侵入されると建物の強度に影響を及ぼす可能性がある
    • 壁の内側 - 外部からは見えにくい場所で発見が遅れやすく、大きな被害につながることがある

 

  • 土台付近
    • 地面との接触部分 - 土壌からの湿気があり、シロアリの侵入経路になりやすい
    • 基礎コンクリートのひび割れ周辺 - シロアリ侵入の経路として使われやすいため、定期的な点検が必要

 

イエシロアリは蟻道や木材の損傷、羽アリの発生など外側から比較的容易に観察できる種類です。早期発見のためには、こうした場所を定期的に点検してください。

 

イエシロアリのコロニー作り

イエシロアリの特徴と生態 イエシロアリ02

イエシロアリが巣から飛び立ち、新たなコロニーを作ることがあります。

この現象は春から初夏にかけて発生し、特に湿度の高い夕方に羽アリが群れをなして飛び立ちます。

湿気の多い木材の近くや建物の基礎部分に降り立ったペアは、羽を落として地中に潜り交尾を行います。

その後、メスは女王アリとなり産卵を始め、新しいコロニーの基礎を築きます。

最初は数十個の卵から始まりますが、時間とともにコロニーは成長し、数年後には数万匹規模まで発展することがあります。

この繰り返しによってイエシロアリはその数を急激に増やしていくのです。

 

イエシロアリの蟻道

イエシロアリは蟻道を作るタイプのシロアリです。

蟻道は土や木材の微細な粒子を彼らの唾液と巧みに混ぜ合わせて作られ、直径約2-3mmの細い筒状の通路となっています。

この通路の壁は非常に丈夫で、シロアリたちの行き来に耐える強度を持っています。

表面はざらざらとした質感で、茶褐色をしており、主に建物の壁や床、柱に沿って這うように作られています。

蟻道は、イエシロアリが巣と餌場を安全に往来する際の通路として機能しますが、それ自体が外敵から身を守るだけでなく、彼らの繊細な体が乾燥しないよう適切な湿度を保つシステムとしても機能しています。

また、蟻道の内部は常に一定の温度と湿度が保たれており、シロアリたちの活動を支える土台といって良いでしょう。

 

イエシロアリの防除

イエシロアリの防除は以下のような方法で行われます。

  • 専門業者による化学的処理
    • 土壌処理剤の注入による予防と駆除
      • 建物周辺の土壌に特殊な薬剤を注入し、シロアリの活動を止める
      • 既存の被害箇所への処理も可能で、長期的な予防効果あり
    • ベイト剤(毒餌)の設置によるコロニーの全滅
      • シロアリの好む木質系の餌に特殊な薬剤を含ませて設置
      • 働きアリが巣に持ち帰ることで、コロニー全体に効果が広がります

 

  • 物理的な対策
    • 床下換気の改善による湿度管理
      • 空気を循環させて湿度を下げ、シロアリを寄せ付けない
      • 結露や過度な湿気を防ぎ、シロアリの活動を抑制する
    • 木材の防腐・防蟻処理
      • 建材への特殊薬剤の含浸処理により、食害を予防
      • 定期的な点検と再処理で、長期的な保護効果を維持

これらの対策は、シロアリ業者などのプロによる適切な診断と施工が効果的です。

また早期発見・早期対応が被害を最小限に食い止めるために必要です。定期的な点検と予防措置を組み合わせ、効果的な防除を行いましょう。

 

まとめ

ここまでイエシロアリの特徴、巣作り、蟻道の構造、そして駆除方法について詳しく見てきました。

イエシロアリは建物に食害をもたらす可能性がある害虫ですが、定期的な点検と適切な湿度管理を行って彼らの脅威から家を守りましょう。

シロアリ被害が疑われる場合は、すぐに専門業者に相談することをお勧めします。

 

イエシロアリの調査、駆除のお見積りは駆除ザウルスへお気軽にご相談ください。

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コラム監修者 プロフィール
内田翔
内田 翔(うちだ しょう)

AAA ALLIANCEグループ 取締役 本部長。
「害虫バスター」としてメディア出演、ニュース、番組協力多数。

【駆除ザウルス メディア出演歴】
日本テレビ「news every.」「世界一受けたい授業」、NHK「クローズアップ現代」、テレビ朝日「スーパーJチャンネル」、フジテレビ「とくダネ!」、TBS「あさチャン!」「ジョブチューン」他多数。

害獣駆除歴約20年を誇るスペシャリスト。「建物の医者」としてお客様の安心・平穏を取り戻す為に最善の施工を実施。