シロアリ被害を最小限に 特に注意すべきシロアリの種類と特徴を解説

シロアリは家屋に深刻な被害をもたらす可能性がある害虫です。日本には様々な種類のシロアリが生息していますが、その中でも特に注意が必要な種類と、それぞれの特徴について詳しく解説します。

シロアリ被害を最小限に 特に注意すべきシロアリの種類と特徴を解説 シロアリ1

シロアリにはどんな種類がいる?

 

日本には合計24種類のシロアリが生息しています。

 

主な種類は以下の通りです。

 

種類特徴生息地
ヤマトシロアリ大きさ3.5~7.5mm、床下や水回りに被害日本全土(北海道一部・高山除く)
イエシロアリ住宅被害を引き起こす主要種千葉県以西の温暖な海岸線に沿った地域
アメリカカンザイシロアリ住宅被害を引き起こす主要種本州以南の地域に点在
スギオシロアリ枯れ木に営巣、家屋被害なし沖縄本島、八重山諸島
カタンシロアリ照葉樹の生立木や枯れ枝を加害静岡県以南の海岸沿い
オオシロアリ日本最大種(働き蟻10-15mm)大隅諸島、奄美群島
タイワンシロアリキノコを栽培、頭部が赤褐色沖縄本島、八重山諸島
タカサゴシロアリ樹上に巣を作る、テング状の角を持つ八重山諸島
ニトベシロアリ大アゴが左右非対称、腐葉土を食べる西表島など
ムシャシロアリ土中生息、腐葉土を食べる八重山諸島

 

 

実際に建築物に深刻な被害をもたらすのはそのうちのごく一部の種類に限られています。建物への被害が特に顕著で、注意が必要な主要な3種類のシロアリは以下の3種です。

 

  • ヤマトシロアリ
  • イエシロアリ
  • アメリカカンザイシロアリ

 

シロアリ各種が好む場所

日本のシロアリは、それぞれ異なる環境を好んで生息しています。

ヤマトシロアリ:床下や水回りの湿った場所を特に好み、常に適度な湿気のある環境を必要とします。建物の低層部に被害が集中する傾向があります。主に春から初夏にかけて活動が活発になります。

イエシロアリ:他の種と比べて乾燥に強く、地下から地上まで広範囲に活動します。蟻道を作って移動経路を確保し、建物全体に被害を及ぼす可能性があります。年間を通じて活発に活動し、被害が深刻化しやすいです。

アメリカカンザイシロアリ:都市部の建造物を好み、高層階でも生息可能です。乾燥に強く、木材を急速に食い荒らします。春と秋に繁殖活動を行い、被害の拡大が速いのが特徴です。

ダイコクシロアリ:主に南西諸島に生息し、高温多湿な環境を好みます。大型の巣を作り、建物の構造材に深刻な被害を与えることがあります。台風などの気象条件に影響を受けやすい特徴があります。

タイワンシロアリ:沖縄や九州南部に生息する外来種で、高温多湿な環境を好みます。建物の木部を効率的に分解し、短期間で大きな被害をもたらすことがあります。年に複数回の繁殖期があり、生息域を急速に拡大する傾向があります。

 

家屋にダメージを与える危険な3種

日本に住むシロアリの中で食害をもたらす危険性のあるシロアリは、ヤマトシロアリ、イエシロアリ、アメリカカンザイシロアリの3種です。

ヤマトシロアリ

シロアリ被害を最小限に!特に注意すべきシロアリの種類と特徴を解説 ヤマトシロアリ02

ヤマトシロアリは日本の主要なシロアリの一種で、北海道の一部地域と高山を除く日本全土(本州、四国、九州)に広く分布しています。

大きさは米粒とほぼ同じで、働きアリが3.5~6ミリメートル、羽アリが4.5~7.5ミリメートルとなっています。

主に建物の床下や水回りの湿った場所に被害を与え、木材を内部から食い荒らすため、早期発見が重要です。発見が遅れた場合、建物に深刻な構造的損傷を引き起こす可能性があります。

 

イエシロアリ

シロアリ被害を最小限に!特に注意すべきシロアリの種類と特徴を解説 イエシロアリ03

イエシロアリは建物に深刻な被害を与えるシロアリの一種です。働きアリの体長は約4~5ミリメートルで、ヤマトシロアリよりもやや小型です。

主に関東以西の温暖な地域に生息し、乾燥に強い特徴があります。地下から地上まで蟻道を作り、建物の高層階にまで被害が及ぶことがあります。

羽アリは3~6月頃の夕方から夜にかけて飛び立ち、特に温暖な地域では年に複数回の飛翔が見られます。

被害の特徴として、木材を完全に空洞化させ、薄い表面だけを残して内部を食い尽くすことが挙げられます。

 

アメリカカンザイシロアリ

アメリカカンザイシロアリは、その名の通りアメリカから入ってきた外来種で、主に関東以西の都市部で見られます。

体長は働きアリが約6.5ミリメートルで、日本の在来種と比べて大型です。

乾燥に強く、建物の高層階でも被害が見られ、木材を急速に食い荒らすことが特徴です。

被害の特徴として、木材の繊維に沿って食害し、表面に小さな穴を開けて糞を排出する習性があります。

 

シロアリの特徴

シロアリにはほかの昆虫にはあまり見られない特徴がいくつかあります。

以下ではシロアリが持つ特異性について見ていきます。

 

シロアリの社会性

シロアリは非常に発達した社会性を持つ昆虫で、巣の中で女王、王、働きアリ、兵蟻、羽アリなど、それぞれが特殊化した役割を持つ個体が協力して生活を営んでいます。

各個体は互いに密接に連携し、巣全体として効率的な生活システムを構築しています。

 

職種特徴
女王腹部が大きく膨れ、産卵に特化した体型。他のカーストより大型
女王より小型で、翅を失った状態。生涯女王とペアを形成
働きアリ体長3.5~6mm程度。翅がなく、白色で柔らかい体。最も数が多い
兵蟻大きな顎を持ち、頭部が発達。防衛に特化した体つき
羽アリ2対の翅を持ち、体長4.5~7.5mm。新しい巣を作るために飛び立つ

 

 

シロアリの生物学的な特徴

シロアリは実は「アリ」の仲間ではありません。ゴキブリに近い昆虫で、「シロアリ目」という独自の分類群に属しています。

約1億5000万年前に進化し、社会性を持つ昆虫として発展してきました。アリとは異なり、前翅と後翅の大きさが同じで、触角は真っ直ぐな形をしています。

また、腹部と胸部の接続部分に「くびれ」がないことも、アリとの大きな違いの一つです。

アリとシロアリの身体的特徴の違い

 

特徴アリシロアリ
触角の形折れ曲がっている真っ直ぐ
胴体のくびれありなし
翅の大きさ前翅が大きい前後の翅が同じ大きさ
体の色黒や茶色が多い白や淡い色が多い

 

シロアリの役割ごとの特性

巣の中では、以下のような明確な役割分担が確立されています。

  • 女王:巣の中心的存在で、1日に数千個の卵を産み続けます。腹部が大きく膨れ、寿命は数年から10年以上に及びます
  • 王:女王のパートナーとして巣に1匹だけ存在し、女王との交尾を担当します
  • 働きアリ:木材の採餌や巣の建設、幼虫の世話など、巣の維持に必要な大部分の作業を担当。常に活発に活動しています
  • 兵蟻:発達した大顎を持ち、外敵からの攻撃に対して巣を守る防衛を専門に担当。特にアリなどの天敵から巣を守ります
  • 羽アリ:新しい巣を作るために飛び立つ繁殖担当で、主に春から初夏の昼間に飛び立ちます。気候条件によって飛び立ちの時期は変動することがあります

 

シロアリが好む場所

家屋に被害を与えるシロアリは、主に床下や水回りなど、湿気の多い場所に巣を作ります。特に危険なイエシロアリやアメリカカンザイシロアリは、建物の高層階まで侵入できる高い適応力を持ち、複雑な蟻道を通って家屋の構造部分を破壊します。

シロアリの巣は精巧な構造で、温度と湿度を調整する機能を備えているのに加え、女王アリの繁殖力から、一度定着すると駆除が困難になります。

家屋に被害を与えるシロアリは、主に以下のような場所に生息します。

  • 床下空間:特に湿気の多い場所や、通気性の悪い場所を好んで巣を作ります。木材が直接地面に接している箇所は要注意

 

  • 浴室周辺:水漏れや結露による湿気が多い浴室周辺の壁や床下は、シロアリの格好のすみかになる

 

  • キッチン周り:シンク下や配管周りの湿った環境は、シロアリが好む水分があり温度変化が少ないなどの条件を備えている

 

  • 玄関付近:土台や柱が地面に近い玄関周りは、シロアリが侵入しやすい

 

シロアリの食べ物

シロアリの多くは、自然環境において枯れ木や土中の分解途中の植物を主な食料源として利用して生きています。

こうした植物由来の有機物を効率的に分解することで、自然界における重要な分解者としての役割を果たし、生態系の炭素循環に大きく貢献しています。

シロアリやそれに似た食性をもつ生物は、消化管内に共生する特殊な微生物の助けを借りて、植物性の有機物を分解する能力を進化させてきました。

シロアリの中でも特に建物を加害する種類は、セルロースを分解する能力が極めて高く、木材を内部から効率的に食い荒らすことができる点で、人間の生活を脅かす存在となっています。

 

シロアリの生態系における役割

シロアリは建築物に対しては害虫として認識されていますが、自然界において極めて重要な生態学的役割を果たしています。

彼らは枯死した植物を効率的に分解し、その過程で必要不可欠な養分を土壌に還元する自然界の分解者として機能する、重要な役割を担っているのです。

この分解プロセスが存在することで新しい植物の成長に必要な栄養分が供給され、森林生態系の健全な循環が維持されています。

特に熱帯や亜熱帯地域では、シロアリの活動が生態系の物質循環において決定的な役割を果たしていて、これらの地域の生物多様性の維持と環境バランスの保持に不可欠な存在です。

もしも森にシロアリがいなかった場合、有機物の分解が著しく遅延し、生態系全体の機能に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

まとめ

ここまでシロアリの種類や生態を紹介してきました。

日本で主に被害をもたらすシロアリは、ヤマトシロアリ、イエシロアリ、アメリカカンザイシロアリの3種類です。これらは主に床下、水回り、壁の中などの湿気の多い場所に生息し、建物に深刻な被害を与える可能性があります。

シロアリから大切な資産を守るためには定期的な点検と早期発見、確実な駆除が必要です。少しでも疑わしい痕跡を見つけた場合は私たち駆除ザウルスへ、お気軽にご相談ください。

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コラム監修者 プロフィール
内田翔
内田 翔(うちだ しょう)

AAA ALLIANCEグループ 取締役 本部長。
「害虫バスター」としてメディア出演、ニュース、番組協力多数。

【駆除ザウルス メディア出演歴】
日本テレビ「news every.」「世界一受けたい授業」、NHK「クローズアップ現代」、テレビ朝日「スーパーJチャンネル」、フジテレビ「とくダネ!」、TBS「あさチャン!」「ジョブチューン」他多数。

害獣駆除歴約20年を誇るスペシャリスト。「建物の医者」としてお客様の安心・平穏を取り戻す為に最善の施工を実施。