マダニからヒトにウィルス感染するSFTSとは?致死率や保有率など
マダニと聞くと、多くの人は「ダニに刺されてかゆくなるだけ」だと思っているかもしれません。実は、マダニはヒトに重大な病気をもたらす可能性がある危険な生き物なのです。
その1つが、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)というウイルス感染症です。
この記事では、SFTSウイルスがどのような病原体であるか、感染経路、感染した場合の症状、そして致死率や保有率について紹介します。
目次
マダニからヒトにウィルス感染するSFTSとは?
病原体 | ブニヤウイルス科フレボウイルス属の重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome : SFTS)ウイルス |
感染経路 | 主にSFTSウイルスを保有するマダニに刺咬されることで感染する。 |
潜伏期 | 6~14日 |
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、ブニヤウイルス科に属するフレボウイルスが原因で発生する、マダニを介した感染症です。
このウイルスは、主にマダニによって人間に伝播されることが知られており、まれにヒトからヒトへの感染例も確認されています。
感染者は高熱、激しい頭痛、筋肉痛、下痢、嘔吐、そして出血に苦しむことがあり、病状が進行すると多臓器不全やショック状態に至る危険性があります。
現在、SFTSに対する確立された治療法や予防ワクチンは存在せず、感染が致命的になる可能性があるため、その死亡率は約10%から30%と非常に高いとされています。
マダニが媒介するSFTSの感染経路
SFTSウイルスの危険性を鑑みると、感染経路を理解し、適切な予防策を講じることが極めて重要といえます。
ここでは、SFTSウイルスの主要な感染経路と、それを避けるための対策について解説します。
SFTSの感染経路①マダニに噛まれる
マダニがヒトに噛みつくと、唾液や血液を通してウイルスがヒトの体内に入り込みます。ウイルスを持っているのは、「フタトゲチマダニ」などの一部のマダニで、直接噛まれると感染する可能性があります。
マダニは草原や森林などに潜んでいて、動物やヒトが近づくと飛びついて噛みます。マダニはとても小さくて目立たないので、噛まれても気づかないことがよくあります。
マダニから噛まれて感染しないようにするには、以下の方法が効果的です。
- マダニのいる場所(山や林など)に出かけるときは、長袖や長ズボンなどで肌を隠す
- 淡い色の服を選ぶ(マダニは暗い色に引き寄せられやすい)
- 虫除けスプレーや蚊取り線香などを使う
SFTSの感染経路②感染動物との接触
SFTSウイルスは、マダニによって媒介されるだけでなく、感染した動物の血液や体液にも存在しています。
感染した動物と触れ合ったり噛まれたりすることで、ウイルスがヒトに移ることがあります。
過去に感染した動物の種類としては、イノシシやシカ、ネコ、イヌ、ヤギなどで、日本では特にイノシシやシカが感染源となっています。
感染した動物は、必ずしも症状が現れるわけではないので、外見だけで判別することはできません。
SFTSの感染経路③感染者との接触
国立感染症研究所は、SFTSというマダニが媒介するウイルス感染症がヒトからヒトに感染する事例を国内で初めて見つけたと発表しました。
調査によると、2023年4月にSFTSに感染していた90代の患者を担当した20代の男性医師が、患者と初めて接触してから11日後に高熱を出し、その後SFTSと診断されました。
ウイルスの遺伝子解析で、90代の患者と同じ種類のウイルスであることが判明し、ヒトからヒトへの感染が起きたと断定されました。
SFTSウイルスの致死率とマダニの保有率
感染症法では、SFTSは4類感染症に指定されており、全ての発症者は国に報告する義務があります。
国立感染症研究所によると、2024年1月31日時点で939人のSFTS患者が確認されています。
ここでは、SFTSの致死率と保有率について解説します。
SFTSの致死率
SFTSの恐ろしさは、その高い死亡率にあります。国や地域によって変わりますが、感染者の10%から30%が命を落とすというデータが出ています。
特に、高齢者や持病のある人は重症化しやすく、死亡率が高まります。SFTSの感染リスクが生じた際は、早めに病院に行き、正しい治療を受けることが大切です。
マダニのSFTS保有率
日本ではいくつかのマダニの種類(フタトゲチマダニ、ヒゲナガチマダニ 、オオトゲチマダニ、キチマダニ、タカサゴキララマダニ)からSFTSウイルスの遺伝子が見つかっています。
しかし、ウイルスを持っているマダニの割合は地域や季節によって異なります。一般的には、0%から数%程度だと言われています。
公園で噛まれる危険も!マダニが隠れている場所とは?
マダニは人間や動物の血を吸って増えていくダニの一種です。人間や、牛・馬・羊・鹿・犬・ウサギなどの哺乳類の血液が主なエサです。
幼ダニや若ダニは成長するために、成ダニは卵を産むために血を吸います。家の中にいる目に見えないほど小さいダニとは違って、マダニは肉眼で見ることができる大きさです。
都会の緑地でもマダニには要注意!
マダニは山や森だけにいると思われがちですが、実は都会の公園や河川敷などの緑地にも生息しています。
春から秋にかけては特に活発になり、人や動物に噛み付いて血を吸います。冬になっても安心できません。なぜなら、冬でも活動可能なマダニの種類がいるからです。
マダニのウィルス感染を防ぐ4つのポイント
マダニによるSFTSウィルス感染を防ぐにはどうすれば良いのでしょうか。ここでは、4つのポイントから感染対策について解説します。
肌の露出を最小限にする
BBQなどのアウトドアレジャーは夏の楽しみの1つですが、暑さに負けて肌を出しすぎるのは危険です。
マダニは肌に直接触れることで寄生するので、長袖・長ズボンを着用し、サンダルではなく靴下や靴で足元をしっかり保護しましょう。
ディート入りの虫よけ剤を使う
マダニを遠ざけるには、ディートという成分が有効です。ディートはマダニの嫌う匂いを発するので、ディート入りの虫よけ剤を肌や服に吹きかけると、マダニだけでなく蚊などの虫刺されも防げます。
外出から戻ったらすぐにチェック
ペットと一緒にお散歩に行ったり草むらに入ったりすると、ペットや自分の服にマダニがくっついている可能性があります。
家に入る前に、ペットや自分の身体、服などをよく見て、マダニがいないか確かめましょう。
ネズミの侵入を防ぐ
マダニはネズミにも寄生することがあります。ネズミが家の中に入ってくると、マダニも一緒に侵入する恐れがあります。
ネズミの出入り口をふさぐ、ネズミ捕りを仕掛ける、ネズミ駆除業者に依頼するなど、ネズミの発生を防ぎましょう。
マダニを潰すのはNG!噛まれたら落ち着いて対処しよう
肌に咬みついても痛くないことがあるので、マダニに血を吸われて3~4倍の大きさになるまで、気づかないことがあるかもしれません。
もし血を吸われているのが蚊であれば、「パチン!」と叩いて潰してしまう人も多いでしょう。
しかし、マダニの場合はNGです。血を吸っているマダニを無理に引き抜こうとすると、マダニの口の部分が肌の中に残ってしまい、膿んでしまうことがあります。
もし咬まれたことに気づいたら、すぐに皮膚科などの医療機関で治療を受けましょう。特に症状がなくても、安全のために病院に行って診てもらうことをおすすめします。
マダニの発生に困ったら害虫駆除業者に依頼しよう
マダニの被害にお悩みの場合は、プロに任せるのが賢明です。対策を先延ばしにすると、マダニはどんどん増えてしまい被害が深刻化します。マダニ駆除は、速やかに行動することが大切です。
では、プロの駆除業者はどのようにしてマダニを駆除しているのでしょうか。ここでは、一般的な害虫駆除業者が行うマダニの駆除方法について紹介します。
①マダニのチェック
駆除業者がご自宅にお伺いし、マダニの状況を調べます。
- マダニがどこにいるのか
- どれくらいの被害が予想されるのか
- どこから侵入してきたのか
- なぜ家にダニが出てきたのか
上記のような点を調査して明らかにします。
たとえば、旅行から持ち帰った荷物(カバンや服など)、海外から取り寄せた家具、山でのレジャーなどでもマダニが家に持ち込まれることがあります。
もし、これらに該当しないにも関わらずマダニが発見された場合、床下や屋根裏に住み着いているネズミが原因になっていることもあります。
②マダニの駆除
マダニの被害状況を調査した後、最適な駆除プランをご提案します。ダニの発生範囲や密度によって、薬剤噴霧器、液体残留製品、パワー噴霧器などの機器を使い分けます。
さらに、粉状製品、噴霧器、ダニ捕りシート、液体残留製品などを効果的に組み合わせて、ダニの撃退を行います。
しかし、どんな薬剤でもマダニに効かない場合があります。ダニが畳や天井裏の断熱材に大量に潜んでいると、薬剤だけでは撃退が困難です。
そのような場合は、断熱材の交換をおすすめします。作業時間も短縮でき、費用もお得になります。どのような方法で撃退するかについては、調査の際に説明をしてくれることが一般的です。
③経過観察
マダニは見つけにくいだけでなく、どこにどれだけいるのか、どんな被害をもたらすのかなど、すべてを把握するのは困難です。駆除作業を終えても、思わぬところに潜んでいたり、再発したりすることがあります。
そこで、一次駆除の後、1週間~2週間の経過観察期間を取り、駆除が完璧にできたのか、それともまだ対策が必要なのかを検証します。
マダニからヒトにウィルス感染するSFTSのまとめ
SFTSは、マダニを介してヒトに感染する重大な疾患であり、日本を含むアジア地域での発生が報告されています。
マダニ対策は個人の努力だけでなく、専門家の知識と技術を活用することで、より効果的に行うことができます。
私たち駆除ザウルスでは、経験豊富な専門家が皆様の安全な生活環境を守るために、最適なマダニ対策をご提供いたします。
SFTSの予防に向けて、ぜひ私たちのサービスをご利用ください。