イタチとハクビシンの見分け方は?外見や生態から違いを解説
民家や農作物に被害を与える害獣として、イタチやハクビシンが挙げられます。いずれも日本の幅広い地域に分布しており、一般的な害獣として広く知られています。
しかしどちらも人間の目を避けて活動しているため、実際に姿を間近で見たことがあるという方は少ないのではないでしょうか。
この記事ではイタチとハクビシンの見分け方、生態の違いなどを解説しています。
目次
イタチとハクビシンの違いと見分ける際のポイント
イタチとハクビシンは生息地や食性に共通点がありますが、その姿を見れば違いは一目瞭然です。それぞれの特徴を以下にまとめました。
イタチ | ハクビシン | |
色 | 山吹色~茶褐色 顔の中央が暗褐色 | 灰褐色 鼻筋に白い縦線模様 |
大きさ | 体長25cm~40cm | 体長50cm~70cm |
足跡 | 2cm~3cm 5本指 指と掌球が離れている | 前足:4cm~5cm 後足:7cm~9cm 5本指 後ろ足が縦長 |
生息地 | 都心部~山間部 平野部の草地、水辺、田畑、人家周辺 | 都心部~山間部 雑木林、餌場付近、人家周辺 |
食性 | ネズミ、カエル、鳥類、昆虫、魚類 | 果物、野菜、小動物、昆虫 |
フン | 1cm以下で細長い 水分が多く湿っぽい 臭いが強烈 | 5cm~15cmの棒状 種子が含まれている |
性質 | 獰猛 | 臆病ながらも凶暴 |
鳴き声 | キキキッ、クククッ | キューキュー、キーキー |
イタチとハクビシンの違いや見分け方のポイントを以下で詳しく解説しています。
生態
イタチは動きが素早く、目で追うのが難しいほどです。小柄で細いため、わずか3cmのスキマを通り抜けることができます。垂直な壁を登ったり、泳いだりするのが得意です。見た目は可愛らしい姿をしていますが、性格は獰猛です。自分より大きな動物を襲うこともあるため、安易に近づくのはやめましょう。
一方ハクビシンは基本的に臆病な性格ですが、危機を察知すると反撃してくる場合があります。身体能力が非常に優れており、木登りが得意です。1mの高さをジャンプすることが可能で、電線を器用に歩く姿が目撃されることも。ハクビシンは頭さえ入れば小さなスキマでも通り抜けることができます。
両者とも夜行性のため、夜に行動が活発になります。
外見
イタチとハクビシンは大きさが全く異なります。イタチの体長は25cm~40cmに対して、ハクビシンは体長50cm~70cmと大きめです。両者とも尻尾が細長くスリムな体型ですが、毛色はイタチが明るい茶色、ハクビシンが灰色っぽい色をしています。
一番の違いは顔の色です。イタチは顔の中央が黒っぽいのに対して、ハクビシンは額から鼻にかけて白い縦線模様があります。
足跡は両者とも5本指ですが、イタチは掌球(人間でいう手の平)と指の間が離れています。ハクビシンはイタチと比べて足跡が大きく、前足よりも後足の方が長いので、足跡でも両者を見分けることが可能です。
分布状況
イタチもハクビシンも日本列島のほぼ全域に分布しています。本来イタチは水辺や山地のような自然の多い場所に生息し、ハクビシンは餌場の近くや雑木林を好むようです。ただ最近では餌を求めて都心部まで進出し、住宅への侵入や生ゴミ荒らしが問題となっています。
食性
雑食のためイタチとハクビシンは基本的に何でも食べます。
イタチは肉類を特に好み、ネズミや小鳥の卵・雛、カエル、ザリガニ、魚類などを捕食します。イタチは指の間に小さな水かきがあるため、カワウソのように器用に泳ぐことが可能です。魚やザリガニを捕まえるために潜水することもできます。
ハクビシンは甘い果物が大好物です。木登りが得意なのでモモやブドウ、サクランボなどの高い位置になる果物も登って食べてしまいます。
フン
イタチのフンは1cm以下で細長く、水分が多く湿っています。肉類をよく食べるため臭いが強烈で、動物の体毛が含まれることがあります。
ハクビシンのフンは5cm~15cmの棒状で、果物の種が含まれているのが特徴です。フンの臭いはイタチほど強烈ではありませんが、尿は鼻につくような臭いです。
イタチやハクビシンと他の害獣の違い
イタチやハクビシンとよく似ている動物として、テン、タヌキ、アナグマが挙げられます。ここでは、他の害獣との違いを解説しています。
テン
テンはイタチとそっくりです。ただ、テンの体長は45cm~55cmでイタチよりもやや大柄です。テンとイタチは毛色で見分けるのが一番分かりやすいでしょう。
テンは夏毛と冬毛で色が変化するという珍しい特徴があります。夏は黒っぽい黄褐色の体に顔が黒色へ、冬は明るい黄褐色の体に顔は白色へ毛が生え変わります。
タヌキ
タヌキはハクビシンと勘違いされやすい害獣です。見分け方として、まずは体つきに注目するとよいでしょう。ハクビシンはスリムな体に細長い尻尾が特徴的ですが、タヌキは寸胴体型で尻尾が短めです。
正面から見ると、ハクビシンは鼻筋に白い縦線模様があるのに対して、タヌキは目や頬の周りが黒色で覆われています。足跡はタヌキは4本指で、ハクビシンは5本指です。
アナグマ
アナグマはハクビシンと大きさが近いためよく間違われます。見分け方はタヌキと同様で体つきをみると判別しやすいでしょう。
アナグマは細身なハクビシンと比較して、寸胴体型で手足が太くて短めです。穴を掘るために手足の爪が鋭く発達しています。目の周りに黒い縦線模様があるのもポイントです。性格は温厚で、イタチやハクビシンのように素早く動くことはできません。
イタチやハクビシンによる被害
イタチやハクビシンが人間の生活圏内に出没すると、さまざまな被害を及ぼします。ここでは、イタチやハクビシンがもたらす被害を5つ解説しています。
フンによる悪臭
イタチは肉食寄りで、アンモニアを多く含んだフンのため、強烈な臭いを放ちます。ハクビシンのフンはイタチほどではありませんが、尿の臭いは強烈です。
イタチとハクビシンには、フンを同じ場所に排泄する「ためフン」という共通の習性があります。住宅の屋根裏や床下をためフンの場所にされてしまうと、家中に凄まじい悪臭が広がってしまいます。
健康被害
イタチとハクビシンはノミやダニ、病原菌を複数保有しています。イタチの場合、サルモネラ菌やレプトスピラ菌などを保菌しており、触れると感染症にかかる可能性があります。
また、ハクビシンの身体には高確率でヒゼンダニが寄生しており、人やペットが疥癬症と呼ばれる皮膚疾患に罹患するリスクがあるので注意が必要です。
放置されたフンによってアレルギー性の喘息や皮膚炎を引き起こす場合もあります。
ペットや家畜が襲われることも
家庭で飼っているペットや家畜が、侵入したイタチやハクビシンに襲われる被害も報告されています。特に家の中で飼育している熱帯魚やハムスター、小鳥などは狙われやすいです。小屋で飼っている家畜のニワトリが捕食された事例も。
体の大きな動物が食べられることはありませんが、攻撃される可能性は十分あります。ペットとして犬やネコを飼っている家庭も油断は禁物です。
家屋へのダメージ
イタチやハクビシンが住宅の屋根裏に侵入してしまうと、家屋へのダメージは深刻です。被害を受けている住宅の屋根裏は、断熱材がズタズタに破られていることがよくあります。
これはふかふかした断熱材をイタチやハクビシンが寝床として利用しているからです。そして寝床付近には、ためフンが蓄積されているケースが多いです。大量のフン尿は天井のシミの原因となり、最悪の場合、建材が腐って天井が抜け落ちてしまうこともあります。
農作物への被害
農作物の被害も多数報告されています。ハクビシンは甘い果物や野菜が大好物なので、畑や果樹園に侵入して作物を食い荒らしてしまいます。イタチは木登りだけでなく穴掘りも得意なので、地中で育つサツマイモなどの根菜類を掘り起こして食べてしまいます。
柵やネットで畑をガードしていても、高さが足りなかったり小さなスキマがあったりすると、イタチやハクビシンはあっさりと侵入してしまいます。電気柵を導入して畑全体をスキマなく囲うなどの対策を取らなければ、イタチとハクビシンの侵入を防ぐのは難しいでしょう。
イタチやハクビシンを駆除することの難しさ
イタチとハクビシンは運動能力が高く、通り抜けられるスキマさえあれば簡単に住宅に侵入してしまいます。
自分たちで行う駆除方法として忌避剤やライトの設置がありますが、効果は一時的なものです。駆除には侵入経路を封鎖することが重要ですが、侵入口が高所だった場合、作業は危険を伴います。侵入経路の特定や封鎖は非常に難しい作業なので、作業経験がなければ再侵入される恐れがあります。
また、イタチとハクビシンは鳥獣保護法によって守られているため、行政の許可なしに捕獲・殺傷することができません。メスのイタチは駆除が禁止されているなどの制約もあるため、知識を持たずに駆除するのは危険です。法律に違反した場合、罪に問われる可能性があります。不安な場合は無理をせず、害獣駆除業者に駆除を依頼するのがおすすめです。
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