キョンを駆除するにはどうしたら良い?被害を防ぐ対策を解説

「キョン」という名前を聞いたことはあるでしょうか?千葉県を中心に生息しているシカ科のキョンは珍獣として知られていますが、一方で食害などを引き起こす害獣としての一面も持っています。

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キョンは鳥獣保護法の管理対象になっており、罠や毒餌による駆除を許可なく行うことは禁じられています。

この記事ではキョンの生息状況や被害の実態をご紹介するとともに、被害を未然に防ぐための対策についても解説しています。

 

キョンによる農作物への被害が急増中

現在、千葉県の房総半島南部や伊豆大島を中心に問題になっているのが、シカの一種であるキョンによる農作物への食害です。

 

この地域には三原山を代表するサクユリやキンランなど、絶滅危惧種にもなっている貴重な植物が生息しています。キョンはこれらの植物も食料としているため、生態系への影響が懸念されます。

 

そのため、生態系や農林水産業への影響や分布拡大を懸念して、平成17年に特定外来種に指定されました。

 

繁殖力の高さが問題に

キョンはシカ科ということもあり、ニホンジカと生息域が重複しています。ニホンジカが2歳前後まで繁殖できないのに対し、キョンは生後半年ほどで出産可能になるため、ニホンジカを圧倒する速度で生息数を増やしてきました。

 

東京都の報告によると平成18年には約4,000頭だった伊豆大島のキョンは、令和4年では約20,000頭まで増加しています。ここ数年は行政による捕獲強化もあって頭数は横ばいになったものの、依然として増加傾向にあるのです。それに伴って被害額も拡大しており、この5年で被害額は300万円~500万円前後と大幅に上昇しました。

 

一方、もともとキョンを輸入した動物園がある千葉県の生息数は、2020年時点で約50,000頭以上になっています。

 

これらの数字はキョンによる被害が特定され、報告されている事例です。キョンによる被害であると特定できていないケースや、行政に報告されていないものを含めると、実際の被害はこれよりも多いと考えられます。

 

キョンの生態

害獣対策を行うために、まずはキョンの生態について理解していくことが重要です。

 

キョンはシカの仲間ということもあり、見た目と鳴き声以外はシカとよく似ています。普段から特徴について理解し、出没に注意することが重要です。

 

外見の特徴や性質

キョンは体長約70~80cm、体高が約35cm~40cm、体重は7~11kgで一般的な中型犬程度の大きさです。日本でよく見られるシカよりも背が低く、体格は小柄です。

背面が茶褐色、腹側が淡褐色をしており、目の下に「臭腺(眼下腺)」と呼ばれるふくらみがあるのが特徴です。

 

キョンのオスには約12~15cm程度の角が生えており、角から目にかけて二本の黒い帯のような模様が入っています。メスには角がありませんが、目の上から頭頂部にかけてひし形の黒い帯模様が入っています。身体の大きさはよく似ているので、角の有無がオスメスを見分けるポイントになるといえるでしょう。

 

キョンは一般的に単独行動を好みますが、食害と並んで特徴的なのが鳴き声です。犬の鳴き声に人間の叫び声のような耳障りな声で昼夜を問わず鳴くため、騒音被害も問題になっています。また、捕獲される際に命乞いのような声を上げるため、ハンターからも敬遠されがちです。

 

日本に入ってきた経緯

 

キョンは、もともと中国や台湾に生息するシカの仲間でした。それが千葉県房総半島南部と伊豆大島の動物園に飼育目的で輸入され、飼育される過程で逃げ出した個体が野生化したものと考えられています。

 

食性

キョンは草食性で木の葉や果実、野菜などを主食とします。ニホンジカに比べ、常緑広葉樹や栗やクルミといった硬い木の実を好む特徴があります。

 

畑や果樹園で育てているイネやイモ類、アシタバなどの葉物野菜、トマトやスイカ、ツバキ油の原料となるツバキの実などもキョンにとっては格好の食料です。専業農家から家庭菜園まで、さまざまな作物がキョンによる被害を受けています。

 

フンの特徴

キョンのフンは7mm以下と非常に小さく、ウサギのフンと同程度の大きさです。ニホンジカの成獣よりも小さなフンなので、よく見れば違いを判別することは可能でしょう。

 

自分たちでできるキョンの撃退方法

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キョンによる食害は年々拡大傾向にあります。自治体による駆除も進められていますが、自分たちで対策を取ることも大切です。

ここでは、キョンによる被害を避けるために、自分たちでどのように対策ができるのか解説します。

 

鳥獣保護法の対象になっている

キョンは特定外来生物に指定されていますが、同時に鳥獣保護法の対象にもなっています。鳥獣保護法の対象になっている動物を駆除・捕獲する場合は、自治体の許可など所定の手続きを踏む必要があります。無許可で殺傷すると罰金刑などの罰則の対象になるので注意が必要です。

 

害獣対策はその場所から的確に追い出し、二度と侵入させないことが基本です。自分たちで行う対策も、再侵入を防ぐことを念頭において計画を立てることをおすすめします。

 

金網や電気柵を使う

 

キョンの侵入を防ぐために金網や電気柵、ネットなどを設置することが有効です。

 

キョンの体高は約40cmですが、70cm程度の柵であればジャンプして飛び越えてしまいます。設置する柵は、90cm以上にしておくと安心でしょう。

 

それぞれの素材のメリットやデメリットは以下の通りです。

 

方法 メリット デメリット
金網 丈夫で管理が少なく済む 設置に費用と手間がかかる

取り外しが困難

電気柵 設置が比較的容易 費用がかかる。メンテナンスが必要
ネット柵 費用が安く設置が比較的容易 ジャンプやもぐりこみで侵入されるリスクがある

 

ネットであれば数千円から購入が可能ですが、キョンが潜り込んでこないよう、きちんと補強して設置する必要があります。金網や電気柵は高い効果が期待できますが、購入と設置に数万円~数十万円の費用がかかります。

 

また、的確にキョンを退けるには、柵を設置する場所や範囲も重要です。フンや足跡、実際の被害箇所などの情報交換を行いながら設置することをおすすめします。

 

ライトや忌避剤を使う

キョンの物理的な侵入を避けるために行う対策として、柵の設置と並んで有効なのがライトや忌避剤です。

 

専用のライトを設置して光を点滅させたり、センサーで夜間に自動的に作動し光と音でシカを威嚇する防除機などが該当します。忌避剤と違って臭いがないので、人間や家畜、環境に負担をかけずに対策できるというメリットがあります。

 

一方、高性能なセンサーライトは数万円を越えるなど、コストが高くなりやすいというデメリットも。強い光で近隣住民に迷惑がかかってしまったり、電源の確保が必要になるなど、設置場所に限りがあることもデメリットといえるでしょう。

 

忌避剤はキョンの警戒心を高める成分を含む薬剤です。多くの動物にとっての天敵であるオオカミの尿の臭いが含まれる忌避剤が、特に効果が高いとされています。忌避剤はホームセンターなどで販売されており、粒状からスプレー、布に染み込ませて使用するものなど形状はさまざまです。

 

比較的安価で購入できるため、害獣対策としては手軽な部類に入ります。ただし、時間経過や雨で効果は徐々に薄くなってしまうので、定期的に撒き直す必要があります。また、オオカミの尿成分は非常に臭いが強く、生活空間で使うには不向きです。忌避効果は家畜やペットにも影響するため、心身にストレスを与える可能性があるのもデメリットといえるでしょう。

 

被害が出る前に対策することが重要

柵やライト、忌避剤といった予防策と並んで重要なのが、周辺の環境管理です。キョンの特性を知り、畑や庭に侵入されにくい環境を構築していくことが大切です。具体的には、以下のようなポイントに注意しましょう。

 

・農地周辺の草刈りをこまめに行って見通しを良くし、生息地である森林部と農地の境界部をはっきりさせる

・果実や野菜くず、生ゴミなど、キョンのエサになるものを屋外に放置しない

・柵や忌避剤を活用して「ここには人間がいる」ということをキョンにアピールする

 

プロの害獣駆除業者に依頼するメリット

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キョンによる害獣被害を避けるためには、柵の設置やライト、忌避剤を使うことが有効です。しかし設置ポイントが適切でなかったり、既に被害が出ている場合、自分たちだけでキョンの被害を防ぐことは困難です。

 

確実にキョンを追い出し、再侵入を防ぐなら、プロの害獣駆除業者に依頼するのもひとつの方法です。ここでは、プロの害獣駆除業者に依頼するメリットを解説しています。

 

法令順守

くくり罠などを用いてキョンを駆除するには、鳥獣保護法に基づいて許可を得る必要があります。また、野生動物の取り扱いは自治体によって対応が異なるため、適切に対処するのは非常に困難です。

プロの害獣駆除業者には資格を持ったスタッフが在籍しており、各地域の条例などにも精通しています。法令に違反することなく、スピード感を持った害獣駆除が可能です。

 

高い安全性

野生動物は基本的に憶病で、自分から攻撃を仕掛けてくることはまれです。しかし自分の餌場や寝床を荒らされたり、安全が脅かされていると判断した場合は自分より大きな人間にも攻撃してくることがあります。

 

万が一攻撃されると、牙や角で負傷するだけでなく、寄生虫や病原菌によるアレルギーや疾患を引き起こす可能性も。

プロの業者は害獣の習性についても高い知識を持っており、安全を保ちながら駆除作業を行っています。

 

効果の持続性

自分たちで対策をした際に問題になるのが、駆除効果が長続きしないという点です。金網を破って再侵入されたり、そもそも侵入経路が特定できないといったご相談は、当社でもよく耳にします。

 

当社では豊富な専門知識とプロ仕様の機材をもとに、確実に再侵入を防ぐ対策をご提案しています。

 

駆除ザウルスは害獣駆除に関するご相談を受け付けています。

 

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駆除ザウルス

 

コラム監修者 プロフィール
内田翔
内田 翔(うちだ しょう)

AAA ALLIANCEグループ 取締役 本部長。
「害虫バスター」としてメディア出演、ニュース、番組協力多数。

【駆除ザウルス メディア出演歴】
日本テレビ「news every.」「世界一受けたい授業」、NHK「クローズアップ現代」、テレビ朝日「スーパーJチャンネル」、フジテレビ「とくダネ!」、TBS「あさチャン!」「ジョブチューン」他多数。

害獣駆除歴約20年を誇るスペシャリスト。「建物の医者」としてお客様の安心・平穏を取り戻す為に最善の施工を実施。