ヌートリアに天敵はいる?生態や被害を防ぐための対策を解説
害獣として知られている動物にはさまざまなものがありますが、比較的新しい種類の害獣として「ヌートリア」が挙げられます。カピバラにも似た愛嬌のある外見ですが、水辺の環境破壊や農作物の食害を引き起こす存在として問題になりつつあります。
この記事ではヌートリアのあまり知られていない生態や特徴、被害を防ぐために知っておきたいポイントなどを解説しています。
目次
ヌートリアの生態
ヌートリアは大型ネズミの一種ですが、西日本に分布が集中しているため、外見や生態について知らない方も多いかと思います。ヌートリアの特徴を以下にまとめました。
ヌートリアの特徴 | |
色 | 茶褐色 |
大きさ | 体長50cm~70cm 尻尾30cm~40cm |
歯 | 鋭いオレンジ色の前歯 |
足 | 後足に水かき |
生息地 | 西日本に分布が集中 河川、ため池、湖沼、水辺の草むら |
食性 | 水草、陸上の植物、水稲、野菜、果物、貝類、魚類 |
フン | 3cmほど、濃緑~黒色、ソーセージ型 |
性質 | 凶暴 |
ヌートリアの生態について以下で詳しく解説しています。
外見の特徴と性質
ヌートリアは水辺に生息する大型のげっ歯類でネズミの仲間です。外見はカピバラやドブネズミによく似ていて、茶褐色の体毛で覆われています。体長は50cm~70cmほどでネコよりも大きく、細長い尻尾は30cm~40cmほどで毛が生えていません。
一番の特徴はオレンジ色の大きくて鋭い前歯です。歯に含まれる鉄分とかじりついた木の成分が結合して前歯のみオレンジ色に染まっています。ヌートリアの後足には水かきが付いており、泳ぐことは得意ですが動きはゆっくりです。危険を察知すると数分間潜水して身を隠すこともできます。
性格は穏やかなカピバラとは違い凶暴で、噛む力が非常に強いため安易に近づくと攻撃をくわえられる可能性があります。
日本に入って来た経緯
本来ヌートリアは南アメリカに分布する動物ですが、第二次世界大戦頃に軍服用の毛皮採取のために日本に持ち込まれました。
ヌートリアは半水生生活をしているため、体温を維持するために保温性に優れた良質な毛皮を保有しています。この毛皮の特性を生かして、戦闘機パイロットの防寒用飛行服の裏地に使用されていました。
ヌートリアは繁殖力が非常に高く、良質な毛皮を低コストで大量に採取できたことから、戦時下において西日本を中心に毛皮養殖が盛んに行われていました。
終戦後は毛皮の需要がなくなりましたが、食糧不足の対策として再び養殖飼育が活発になりました。ところが食糧状況の改善とともに需要が激減し、養殖業者がヌートリアを放逐したことで野生化して繁殖してしまったのです。
生息場所
ヌートリアは温暖な気候を好むため、西日本に分布が集中しています。寒さが苦手なため、冬に氷が張るような寒冷地には定着しないようです。
現在は岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、三重県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県などに生息しており、分布が徐々に拡大している状況です。この他の地域でも目撃情報が寄せられているので、今後生息地域が広がっていく可能性は十分あります。
流れの緩やかな河川やため池、湖沼、水辺の草むら周辺で生活しており、水面に顔を出して泳いでいる姿がよく目撃されます。水辺から離れて活動することはほぼありません。土手にトンネル状の巣穴を複数掘って、休息や繁殖の場所として利用しています。水上に水草を集めて浮巣を作って暮らすこともあります。
ヌートリアの食性
ヌートリアは基本的に草食でホテイアオイ、ヨシ、ヒシ、マコモなどの水生植物の茎や根茎を好んで食べます。他にも巣穴周辺の陸上の植物や貝類、魚類もよく食べています。泳いで魚を捕まえたり、手で餌をつかんで口に運んだりすることも可能です。
農作物では水稲が大好物ですが、水辺周辺で育てられたニンジンや大根、白菜、スイカ、メロンなどの野菜や果物も食べます。ヌートリアは夜行性で、主に夕方や明け方に田畑に侵入することが多いですが、深夜や日中に目撃されることもあります。
ヌートリアに天敵はいるのか?
ヌートリアは外来種ということもあり、日本国内に天敵は存在しません。それどころか、可愛らしい見た目をしているため人間が餌付けしてしまうケースもあるようです。外敵に襲われる心配がないため、日本の河川はヌートリアにとって快適な環境であるといえるでしょう。
天敵がいないことに加えて、ヌートリアは驚異的な繫殖力を持っているため、個体数が年々増加していることが問題視されています。ヌートリアの妊娠期間は約130日で、年に2~3回の出産が可能です。一度に2~10頭の子供を産み、メスは産まれてから約4ヵ月後には妊娠可能となります。ひとつの場所に定着してしまうと、あっという間に繁殖して駆除が追いつかなくなります。
ヌートリアによる被害
ヌートリアが繁殖してしまうと、人間の生活だけでなく生態系にまで影響が及ぶ可能性があります。ここでは、ヌートリアが近隣の水辺に定着することで起こる被害について解説しています。
生態系への悪影響
ヌートリアは食欲旺盛で、生息地周辺の水草を食べ尽くしてしまいます。これによって水辺の環境が変化しているのは間違いないでしょう。ヌートリアの定着で動植物が絶滅したという報告はありませんが、水草を食べる他の動物や水草を住処とするトンボの生息場所が脅かされるのではないかと専門家の間で懸念が広がっています。
また、ヌートリアによるイシガイの捕食が増えており、イシガイに産卵する天然記念物のイタセンパラという魚の生息数が減少していることも指摘されています。
新たに侵入した地域の生態系に悪影響をもたらす恐れもあるので、ヌートリアがまだ生息していない地域でも油断は禁物です。
農作物の食害
ヌートリアによる農作物の食害も深刻化しています。巣穴付近の水草がなくなると餌を求めて田畑に侵入し、水稲やニンジン、大根、スイカ、サツマイモなどの野菜が食い荒らされる被害が起こっています。
特に水稲の被害が最も多く、田植え直後の柔らかい稲を狙ってヌートリアが田んぼに侵入するケースが多発しています。また、水辺の草が育ちにくい冬季は、野菜の食害が増える傾向にあるようです。地中で育つ根菜類も掘り起こされて簡単に食べられてしまいます。
食害以外でも、農作物に大きな被害をもたらす事例があります。ヌートリアが水田と水田の間にある畦道やため池に穴をあけて貫通させてしまい、田畑が破壊されることがあるようです。これにより、農業用水が漏れ出して農作物が傷んでしまうことも。
景観への被害
ヌートリアの定着により、河川敷や水辺の景観が激変する可能性があります。
ヌートリアは水辺に複数の巣穴を掘る習性があるので、土手が穴だらけになり、最悪の場合地盤が弱くなって落盤してしまいます。また、水草や土手に生えている植物が食べ尽くされることで、草が生い茂って自然豊かだった水辺から緑が消えてしまうのです。
そうすると、土手や緑が消失した殺風景な河川敷へと変わってしまう恐れがあります。美しい観光名所などが被害を受けてしまうと、観光産業の経済的損失にまで発展するかもしれません。
ヌートリアの被害を防ぐためにできること
ヌートリアの被害を避けるために、自分たちにできる対策はあるのでしょうか。ここではヌートリアの被害を防ぐためにできることについて解説しています。
ヌートリアを許可なく殺傷することはできない
前提として、ヌートリアは個人が許可なく駆除することはできません。鳥獣保護法という法律で保護対象に指定されているため、捕獲・殺傷する場合は自治体に許可申請を出す必要があります。
さらに、ヌートリアは外来生物法によって特定外来生物に指定されています。特定外来生物とは、もともと日本に生息していなかった外来生物のうち、自然環境に大きな影響を与え、生態系に被害を及ぼすと国が指定した生物のことです。特定外来生物であるヌートリアは、飼育・栽培・保管・運搬・譲渡・輸入などが原則として禁止されています。
このようにヌートリアの駆除は法律で規制されているため、個人で対処することはおすすめしません。
プロの害獣駆除業者へ依頼する
ヌートリアの被害を拡大させないためにも、最初からプロの害獣駆除業者に依頼するのが安心です。
ヌートリアを田畑に侵入させない対策として、柵で囲むことが挙げられますが、鋭い前歯で食い破られたり、穴を掘ってあっさりと侵入されてしまうケースが多いです。また、田畑周辺の草刈りや焼き払いによって、ヌートリアが住みにくい環境を作る方法もありますが、効果を持続させるには定期的な作業が必要となり手間がかかります。
プロの害獣駆除業者に依頼すれば、専門資格を有するスタッフが正式な手続きを踏んで、安全に作業を進めることができます。専用の箱罠を使ってヌートリアを捕獲するため、攻撃されたり感染症にかかったりする心配もありません。
駆除ザウルスでは、全国で害獣駆除に関するご相談を承っております。家屋に浸入され物音がする、近くの河川で害獣と思われる生物を見かけた、畑に動物の足跡がついているが種類を特定できないなど、さまざまなケースに合わせて最適な害獣駆除計画をご提案いたします。自分で駆除を試みたがうまくいかなかったり、他社作業後に再侵入されてしまったという方も大歓迎です。
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