トコジラミに刺されたらどんな跡が残る?予防方法を解説
近年、トコジラミ(別名:ナンキンムシ)の被害が全国的に急増しています。戦後に殺虫剤が普及し、1970年代に国内のトコジラミはほぼ撲滅されていました。
ところが、2000年頃からトコジラミによる被害が再び報告されるようになりました。最近では、SNS上でトコジラミの被害を報告するツイートが話題になっています。
もしトコジラミに刺されたら、どのような跡が残るのでしょうか?この記事ではトコジラミに刺された時の跡や画像の紹介、旅行先からトコジラミを持ち帰らないための対策法について解説しています。
目次
トコジラミによる被害が急増中
なぜ、かつて一掃されたはずのトコジラミが、再び猛威を振るっているのでしょうか。実は、殺虫剤に含まれているピレスロイドという成分に対して、耐性を持つ個体が海外で発見されたのです。通称「スーパートコジラミ」と呼ばれています。ピレスロイド系の殺虫剤が効かなくなったため、駆除が困難となり、世界中に深刻な被害をもたらしています。
海外渡航が盛んになった近年、海を渡って日本にもスーパートコジラミが上陸してきたわけです。人や荷物とともに運ばれたトコジラミが、宿泊施設などを通じて家庭に持ち込まれ、被害を及ぼすケースが多数報告されています。
店舗や宿泊施設でトコジラミが発生してしまうと、徹底的な駆除作業が求められ、営業に支障をきたしてしまいます。経済的損失は避けられないでしょう。さらに対応が遅れてしまうと、信用問題にもなりかねません。
トコジラミに刺されるとどうなるか?【実録画像】
トコジラミは血液のみを栄養源としており、人の血を吸います。吸血の際に皮膚に注入される唾液によってアレルギー反応が起こり、強いかゆみを伴います。
初めて刺された方は無症状の場合が多いですが、繰り返し刺されるとすぐにかゆみが出ます。
個人差はありますが、眠れないほどの激しいかゆさを訴える方もいます。蕁麻疹や発熱の症状が出るケースもあるため注意が必要です。かゆみは1~2週間ほど持続します。あまりのかゆさに眠れず、ストレスや不眠の原因になってしまう方も。
身近に潜んでいるノミやダニも刺されると強いかゆみを伴いますが、刺される部位や跡にはそれぞれ以下のような特徴があります。
刺される部位 | 刺された跡の特徴 | |
トコジラミ | 首、腕、手足など肌が露出している部分 | 複数の赤い発疹 |
ノミ | ひざから下 | 複数の赤い発疹、水ぶくれ |
ダニ | 二の腕、太もも、脇、お腹など柔らかい部分 | 複数の赤い小さなしこり |
トコジラミは夜行性のため、就寝中に刺されることが多いです。そのため、肌が露出している部分を狙われます。一方で、ノミは草むらやカーペットから足元に飛びついてくるので、ひざから下を刺される傾向があります。ダニは衣類の中に入り込み、肌の柔らかい部分を集中的に刺すのが特徴です。
刺された跡にはそれぞれ違いがあります。複数箇所を刺されるのは共通していますが、トコジラミは赤い発疹、ノミは水ぶくれ、ダニは小さなしこりが特徴的です。
刺された時の対処法
ここでは、刺された場合の対処法をご紹介します。
かかずに冷やす
まずは刺された部分を洗って清潔にし、冷やすことが大切です。冷やすことで炎症が抑えられ、かゆみを和らげる効果があります。かきむしりは絶対にやってはいけません。爪でかきむしると肌が傷つき、傷口から菌が入って化膿する恐れがあります。かかずに冷やして対処しましょう。
市販の塗り薬を使用する
市販の抗ヒスタミン薬やステロイド配合の塗り薬がある場合は、すぐに塗って処置するのがおすすめです。かゆみや赤みが抑えられ、治りが早くなる可能性があります。
症状がひどい場合は皮膚科を受診する
先にも解説したように、トコジラミに刺されると蕁麻疹や発熱の症状が出るケースがあります。市販の薬を塗っても改善されなかったり、症状がひどい場合は、速やかに皮膚科を受診しましょう。もしかすると、トコジラミが原因ではないかもしれません。医師の診察を受けて、適切な治療と処方を受けることが大切です。
トコジラミの生態
刺されると厄介なトコジラミですが、一体どんな姿をしているのでしょうか。ここでは、被害が取り沙汰されているトコジラミの生態を解説しています。
外見の特徴や見分け方
名前は「トコジラミ」ですが、シラミではなくカメムシの仲間です。成虫は5~8mm程度の大きさで、体は茶色く、上からは丸く見えますが、平たい体型をしています。意外と大きいので、ノミやダニと違って目視での確認が可能です。
吸血後は体が伸びて膨れ上がり、血が体内に入って濃褐色になります。ちなみに、動きは素早いですが羽が退化しているため飛べません。触れるとカメムシと同じように嫌な臭いを放ちます。
トコジラミの寿命は10ヵ月程度で、メスは1日に5~6個の卵を産み、生涯の産卵数は200~500個にも及びます。卵は5日程度で孵化するため、驚異的なスピードで繁殖し、数か月後には手が付けられないほどの数に増殖してしまうのです。
卵は1mm程度で色は乳白色、お米のような細長い形をしています。孵化したばかりの幼虫は薄黄色ですが、脱皮を繰り返すことで徐々に茶色へ。オス・メスを問わず、幼虫の頃から吸血します。
トコジラミを見分けるポイントのひとつに、潜伏場所付近の大量の卵と血糞が挙げられます。血糞とは、血の混じった黒いシミのようなフンのことです。1カ所に卵や血糞が集中しているため、意外と簡単に発見できます。トコジラミを探す最大の手がかりといえるでしょう。また、トコジラミはノミ・ダニと比べて体が大きく肉眼で確認できるため、大きさで区別できます。
どのような場所に出没するか
トコジラミは小さくて平たい体型なので、家の至る所に身を潜めています。就寝中に人の血を吸うため、寝具付近に出没することが多いです。暗くて狭い場所を好んで生息しています。以下のような場所には、トコジラミが潜んでいる可能性があります。
・ベッドボードの裏
・マットレスの継ぎ目
・ソファのスキマ
・畳の裏側
・カーペット
・カーテンの折り目
・壁や柱のスキマ
・コンセントプレート
暖かい場所も好むので、テレビや照明器具などのスキマに隠れているケースもあるようです。
また、ツルツルしたところよりも、ざらっとした引っかかりのある場所に卵を産みつける傾向があります。
トコジラミの根絶は非常に困難
トコジラミは強い繁殖力を持つため、根絶するのは非常に困難です。家中のスキマに隠れているトコジラミやその卵を、ひとつ残らず取り除くのは不可能だからです。
さらに、トコジラミには飢餓状態でも数ヵ月生存できるほどの生命力があります。万が一宿泊施設から持ち帰ってしまった場合、自分たちだけで駆除するのはほぼ不可能だと思ったほうが良いでしょう。
旅行先でのトコジラミ対策
トコジラミを家に持ち帰らないためには、いくつかの注意点があります。ここでは、旅行先でのトコジラミ対策を解説しています。
ベッドやソファをチェックする
部屋でくつろぐ前に、ベッドやソファにトコジラミがいる形跡がないか確認しましょう。表面がキレイだとしても、マットレスの裏側やソファのスキマにトコジラミが潜んでいるかもしれません。
まずベッドのシーツをめくって、マットレスの四隅をチェックします。トコジラミが潜んでいるベッドには必ず血糞が付着しています。黒っぽい不自然なシミがついていないか、虫の死骸が落ちていないか探しましょう。万が一発見した場合は、フロントに報告して部屋を変えてもらうことをおすすめします。
荷物を直接床に置かない
荷物を床に直置きするのはおすすめしません。夜間に活動的になったトコジラミが、荷物に紛れ込んでしまう恐れがあります。ソファやベッドのチェックが終わるまでは、バスルームに荷物を置いておきましょう。
トコジラミはツルツルした面を登ることができません。チェック後も荷物は机やラックの上に置くか、大きなビニール袋に荷物を入れて固く結んでおくと安心です。荷物を取り出す時以外は、スーツケースの蓋は閉めておきましょう。
防虫剤を持っていく
旅行用の荷物に防虫剤を入れておくと、トコジラミの侵入を予防できます。小さな防虫剤も販売されているので、かさばる心配がありません。
近年問題になっているスーパートコジラミは、ピレスロイド系の殺虫剤が効かないといわれています。パラジクロロベンゼンかトコジラミに効果があると明記されている殺虫剤を選ぶことをおすすめします。
長袖を着て寝る
トコジラミは就寝中に肌が露出している部分を吸血するので、長袖を着て寝ると被害を最小限に抑えられます。季節を問わず、長袖を持ち歩くようにしましょう。
家に帰ってからの対策
旅行から帰った際は、荷物をすぐに部屋に入れないことが大切です。玄関先で荷物を広げ、トコジラミが出てきたら掃除機やガムテープで捕獲しましょう。また、トコジラミは熱に弱いとされています。服を熱いお湯につけると、潜んでいるトコジラミは死滅します。50度のお湯の場合、30分程度つけおくのが目安です。
トコジラミは、一度発生すると根絶が非常に難しい害虫です。抵抗力の低いご高齢の方やお子様、身体の小さなペットに被害が及ぶと、重大な事態に陥ってしまうことも。
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