イタチとフェレットの違いは?外見や生態から解説
イタチは日本の広い範囲に生息し、害獣としてもよく知られています。一方でよく似た外見ながら、ペットとして親しまれている動物としてフェレットが挙げられます。
このふたつの動物にはどのような違いがあるのでしょうか?この記事ではイタチとフェレットの外見や生態の違いについて解説しています。また、他の害獣との比較やイタチのもたらす被害についてもまとめています。
目次
イタチとフェレットはとても近い動物
イタチとフェレットは同じイタチ科イタチ属に分類されており、生物学的には非常に近い動物です。両者の違いは野生動物か否かにあります。
フェレットの起源はヨーロッパなどに生息する野生の「ヨーロッパケナガイタチ」で、ペットとして品種改良されて生まれた家畜種です。人懐っこい性格でペットとして世界中で飼育されており、自然界には存在しません。
一方、イタチは日本に古くから生息している完全な野生種です。日本に生息するイタチは、在来種の「二ホンイタチ」と外来種の「シベリアイタチ」で、現在はこの2種類をひっくるめて「イタチ」と呼んでいます。
性格は非常に獰猛で、人に懐かないため飼育には向きません。そもそもイタチは鳥獣保護法によって守られており、ペットとして飼うことが禁じられているのです。駆除が目的の場合も、自治体の許可なく捕獲・殺傷を行うと罰せられる可能性があります。
フェレットとよく似ているからといって、イタチに近づいたり捕まえたりするのは絶対にやめましょう。
イタチとフェレットの違いと見分ける際のポイント
イタチとフェレットは見た目がよく似ていますが、毛色や分布に違いがあります。ここではイタチとフェレットの違いと見分ける際のポイントを解説しています。
生態
イタチは凶暴で気性が荒く、人が近づくと攻撃してくる場合があります。自分よりも大きな動物を襲ってしまうほどの、怖いもの知らずな一面があります。狩りの能力が非常に高く、凄まじい速さで獲物を追いかけたり、泳いで魚を捕まえることが可能です。
イタチは危機が迫ると肛門腺から強い悪臭のする分泌液を放ち、敵がひるんでいるスキに逃げるといわれています。
フェレットは穏やかな性格で、ネコよりも人に懐くといわれています。野生のイタチほどではありませんが、身体能力が高くジャンプや素早い動きが得意です。
フェレットもイタチと同じように肛門腺がありますが、日本のペットショップで販売されているフェレットの大半は肛門腺の除去手術が済んでいます。そのため、肛門腺から強烈な分泌液が放たれることはありません。
外見
イタチとフェレットは両者とも胴長・短足であるため、シルエットが非常によく似ています。外見を見分けるポイントは体毛です。イタチの毛色は山吹色~茶褐色で、顔の中央が暗めの色になっています。
一方フェレットは毛色や柄が個体によって全く違います。真っ白な個体や黒~茶色の模様がある個体などカラーバリエーションが豊富なため、一概に何色であるとはいえません。
また、フェレットの体毛はアンダーコートとオーバーコートという2種類の体毛で構成されています。アンダーコートは短くて柔らかい毛で、オーバーコートは表面にある長くて硬い毛のことを指します。この2種類の毛色の組み合わせで全体の雰囲気が大きく異なります。
フェレットはイタチよりも体や足跡がやや大きめです。足跡の形状はよく似ていて、両者とも5本指で指と肉球が離れています。ただしフェレットは野生にはいないので、足跡が屋外で発見されることはほぼありません。
分布状況
イタチは日本列島のほぼ全域に生息しています。もともと本州・四国・九州を中心に在来種の二ホンイタチが広く分布していました。
ところが、戦前・戦後に毛皮業者や船によって運ばれた外来種のシベリアイタチが日本で野生化してしまい、小柄な二ホンイタチは山間部まで住処を追いやられたといわれています。その後二ホンイタチの生息数は激減し、シベリアイタチの勢力が拡大していきました。現在、西日本の市街地で出没するイタチの大半はシベリアイタチです。
フェレットはペットとしてのみ飼育されているため、ペットという観点では全世界に分布しているといえるでしょう。
食性
イタチは雑食のためネズミやカエル、鳥類、昆虫、魚など何でも食べてしまいます。特に肉類を好む傾向がありますが、木の実や野菜、果物も食べます。農作物を求めて畑に侵入することも。
一方、フェレットは完全な肉食動物で、動物性たんぱく質の消化に特化した腸を保有しています。ただし、繊維質を多く含んだ野菜や果物はうまく消化できず、体調不良の原因になる場合があるようです。家庭で飼育されているフェレットは、栄養バランスが考えられたドライフードを与えられていることがほとんどです。
フン
イタチのフンは臭いが強烈で、小動物を食べることにより動物の毛が混じっていることがあります。大きさは1cm以下で水分が多く湿っているのが特徴です。
フェレットのフンはかりんとうほどの大きさで、臭いはイタチほど強くはありません。
体毛 | 食性 | 性質 | |
イタチ | 山吹色~茶褐色 | 雑食でなんでも食べる | 獰猛で気が荒い |
フェレット | 白や黒、茶褐色など多彩 | 完全な肉食 | 人懐っこく温和 |
イタチやフェレットと他の害獣の違い
テン、タヌキ、アナグマはイタチと生息地域が重なるため、見間違えることがあります。ここでは、他の害獣との違いを解説しています。
テン
テンは可愛らしい顔をしていてイタチやフェレットとよく似ています。見分ける際は体格や毛色に注目するとよいでしょう。
テンは体長45cm~55cmほどでイタチよりもやや大きく、季節によって毛色が変化します。夏は黒っぽい顔に暗めの黄褐色の体毛に覆われています。冬になると毛が生え変わり、白っぽい顔に明るい黄褐色の体毛へと変化するのです。
タヌキ
タヌキはイタチと同様に住宅地周辺によく出没するため、間違いやすい動物です。ただ、よく観察するとシルエットが全く違うのですぐに見分けが付きます。
イタチは胴長でスリムな体型ですが、タヌキは胴が太くて丸々とした体型が特徴です。タヌキはイヌ科に分類されるため鼻先が長く、目の下や頬の周りが黒っぽい毛で覆われています。
アナグマ
アナグマはイタチと同じイタチ科の動物ですが、どちらかというとタヌキに近い見た目をしています。目に黒い縦線模様があり、寸胴体型で手足が短く、地を這うように歩くのが特徴です。
イタチのように俊敏には動けませんが、手足の鋭い爪を使って穴を掘るのが得意です。アナグマは穴掘りをして巣穴を自分で作りますが、使われなくなった古巣はイタチなどの他の野生動物に利用される場合があります。
イタチによる被害
イタチが人間の生活圏内に現れると、どのような被害をもたらすのでしょうか。ここでは、イタチの出没によって起こる被害について解説しています。
フンによる悪臭
イタチには「ためフン」というフンを同じ場所に排泄する習性があります。屋根裏や床下に住み着かれると、フンが蓄積されて家中に強烈な臭いが充満してしまいます。
イタチの食事は肉類が中心なので、フンにはアンモニアが含まれており、耐えがたい臭いが発生します。イタチを追い出した後の掃除や消毒は必須です。
健康被害
イタチの身体には大量のノミやダニが寄生しています。イタチが天井裏を走り回ると、天井から人間が暮らす部屋にノミやダニが落ちてきて、人やペットに被害が及ぶ可能性があります。
刺されると強いかゆみが1週間ほど持続するので厄介です。ペットに寄生してしまうと皮膚炎などの病気を引き起こす可能性もあります。
イタチは夜行性のため、活発に行動する時間は夜がメインです。就寝中に鳴き声や足音が聞こえてきて不眠症に悩まされる、といったお声を耳にすることもあります。
ペットや家畜が襲われることも
飼っているペットがイタチに攻撃されることもあるので注意が必要です。イタチは金魚や小動物だけでなく、犬やネコにも襲いかかることがあります。
最悪の場合、噛みつきや引っかきによって病原菌が入り込み、ペットが感染症に罹患する可能性もあります。
屋外の小屋で飼っていたウサギやニワトリが襲われたという報告もあるため、付近でイタチの被害や目撃情報がある場合は速やかに侵入対策を練りましょう。
家屋へのダメージ
イタチが屋根裏や床下を住処にしてしまうと、家屋にダメージを与えます。特に屋根裏は巣材になる断熱材が敷き詰められており、静かで暖かく、安全な場所なので、イタチにとって住みやすい環境が整っています。
イタチが住み着くことで断熱材が破かれたり、ネズミやカエルなどの食料を持ち込まれたりして不衛生な状態になります。
さらにためフンによって蓄積されたフン尿が、木材を腐らせて天井のシミの原因になるので、天井に異変がある場合は速やかに天井裏や屋根裏を確認しましょう。
農作物への被害
農村部ではイタチによる畑や農作物の被害も報告されています。イタチは地面に穴を掘ることが得意なので、地中で育つイモ類や根菜類を掘り起こして食べてしまいます。
また、木登りも上手なので高い木に生る果物も油断は禁物です。イタチを畑から追い出すには金網や電気柵で確実に侵入口を塞ぐ必要があります。
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